どちらにせよ、ロシアによる侵攻が19カ月目に突入する中で最も重要なのは、米国製のF16に搭載できる兵器は何かということだ。それは、最新鋭の空対空・空対地ミサイルと精密誘導爆弾である。いずれもウクライナの戦闘機の攻撃可能距離を拡大し、パイロットはロシア軍の防空網に身をさらす危険を冒すことなく占領地域の奥深くにある敵陣地を叩けるようになる。
ウクライナはすでに同盟国からさまざまな最新の武器弾薬の供与を受けている。供与された弾薬を搭載できるようウクライナ空軍のミグ29戦闘機やスホイ27戦闘機、スホイ24爆撃機を改造しており、デンマークとオランダから引き渡されるF16にも同様の換装を施すだろう。さらにF16ならば、旧ソ連製の機体では必ずしも活用できない同盟国の弾薬の優れた機能を余すことなく活用できる。
しかし、最大の違いを生む可能性のあるミサイルは、まだウクライナの「欲しい物リスト」に残ったままだ。ロッキード・マーティンが開発した統合空対地スタンドオフミサイル(JASSM)は、射程370km、重量2トンのステルス巡航ミサイルである。米国がJASSMのウクライナへの供与を承認しない限り、同国軍のF16は十分な能力を発揮できない。
米カリフォルニア州のシンクタンク、ランド研究所のアナリストであるブリン・タネヒルは今年5月の論評で、「F16がウクライナで実戦配備されるまでには、まだ長い道のりがある。そして、F16が戦争の結果にどれだけ影響を与えるかは未知数だ」と解説した。