展示会のプレスリリースには、最小限の情報しか掲載されていない。「国際軍事技術フォーラムArmy 2023で、AEROSCANは弾頭を大型化した新型の徘徊型兵器『プロダクト54』を発表した。本製品は、かなり離れた場所にいる敵の軍事装備や人員の撃滅を目的として設計されている。当モデルは当社主導で開発したもので、最新の人工知能アルゴリズムを用いており、現在は生産に入る前の最終試験中である」
自爆型ドローンや徘徊型兵器は、ウクライナ侵攻におけるロシアの数少ない成功例となっており、多くのロシア企業が市場参入を試みている。7ポンドの弾頭を搭載した重さ約11キロの自爆型ドローン「ランセット」は、約40キロ離れた地点に展開する砲や戦車、装甲車両を撃破できる。とはいえ、照準には大きな問題があるようで、ランセットの戦果の数々は実はダミーである。成功例として最近公開された動画は、ランセットがロシア軍のT90M戦車を破壊しているように見える。
一方でロシアは、重量約200キロのイラン製自爆型ドローン「シャヘド136」を使ったウクライナへの爆撃を続けており、ライセンス契約の下、ロシア国内の工場で大量生産を行おうとしている。シャヘド136の航続距離は2000キロ前後と推定される。
「プロダクト54」の製造元であるAeroscanの経営者は、少なくとも名目上はニキータ・ザハロフだ。ランセットを製造するザラ・アエロ・グループの株式50.85%を保有する実業家アレクサンドル・ザハロフの息子で、英オックスフォード大学で学んだとみられ、ロンドンに高級不動産を所有している。
ザラ・アエロの残りの株式はカラシニコフ・コンツェルンが保有しており、このためランセットはカラシニコフ製品と呼ばれることが多い。なお、アレクサンドル・ザハロフの娘マリアも、自身のドローン製造企業Orionを所有している。