新しい売り方への遷移を牽引したのは、社員の成功体験だった。デジタルセールスチームが創出したリードやキーパーソンによって、以前より格段に成果を上げる営業メンバーが現れ始めたのだ。これらの成功体験を、及川らが社内コミュニケーションを通じてすかさず盛り立てることで、先頭を切った社員がインフルエンサーのように機能した。2022年度には5000社超へのアプローチを達成。年間75億円の商談を創出している。
さらなる連携強化に向け、昨年はデータ分析の専門チーム「データアナリティクスセンター」も設立。最新技術を使って、個々の営業の強みや傾向、商談失敗時の傾向分析など、営業活動をさらに高度化するプランを立てている。
「営業改革に特効薬はありません。新しい仕組みと、メンバーのモチベーションを両立させられるかどうかが、僕らの腕の見せどころだと思っています」(友廣)
大企業がどこまで変われるか。壮大な改革は、まだまだ発展途上にある。
ともひろ・けいじ◎富士通CRO室Deals Creationエグゼディレクター。
きた・まさゆき◎富士通CEO室CDPO Divisionシニアディレクター。
おいかわ・みちよ◎富士通CRO室Deals Creationシニアディレクター。