経営・戦略

2023.08.23 17:45

「国境」と「部署」ふたつの壁を乗り越えた富士通のDXプロジェクト

Forbes JAPAN編集部
新卒で入社し社歴30年となる及川美智代が、現場の心境の変化について語る。「私自身、営業からマーケティングへ異動したときは売り上げへの貢献度を感じにくくなり、仕事に迷いがありました。友廣さんの新設チームに参加して連携するメリットをようやく理解し、そこからは富士通に合った変革を模索してきました」

新しい売り方への遷移を牽引したのは、社員の成功体験だった。デジタルセールスチームが創出したリードやキーパーソンによって、以前より格段に成果を上げる営業メンバーが現れ始めたのだ。これらの成功体験を、及川らが社内コミュニケーションを通じてすかさず盛り立てることで、先頭を切った社員がインフルエンサーのように機能した。2022年度には5000社超へのアプローチを達成。年間75億円の商談を創出している。

さらなる連携強化に向け、昨年はデータ分析の専門チーム「データアナリティクスセンター」も設立。最新技術を使って、個々の営業の強みや傾向、商談失敗時の傾向分析など、営業活動をさらに高度化するプランを立てている。

「営業改革に特効薬はありません。新しい仕組みと、メンバーのモチベーションを両立させられるかどうかが、僕らの腕の見せどころだと思っています」(友廣)

大企業がどこまで変われるか。壮大な改革は、まだまだ発展途上にある。


ともひろ・けいじ◎富士通CRO室Deals Creationエグゼディレクター。

きた・まさゆき◎富士通CEO室CDPO Divisionシニアディレクター。

おいかわ・みちよ◎富士通CRO室Deals Creationシニアディレクター。

文=井澤 梓 写真=ヤン・ブース

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