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2023.08.10

高騰する卵の解決策となるか ハイブリッド卵「ミラクルエッグ」の可能性

プレスリリースより

独自技術で大豆から作られる植物肉「ミラクルミート」を生産するDAIZ(ダイズ)は、新たに植物由来の卵液「ミラクルエッグ」を開発した。発芽大豆を使い分子構造を卵に近づけることで、本物とほぼ同じ性質の卵液ができた。これは、本物の卵液と混ぜて使うことを想定した業務用食材で、卵の価格高騰や品不足に対処することを目指している。これを、「植物肉第二期」に向けた「ハイブリッド戦略」とするDAIZの戦略とは?

DAIZは、同社の取締役、落合孝次氏が開発した「落合式ハイプレッシャー法」で栽培される、とくに旨味の強い発芽直後の大豆を使ってミラクルミートを生産している。大豆特有の臭みがなく、脂肪酸バランスが肉に近く、さらに高圧処理により筋繊維を再現しているので、大豆とは気がつかないほどだという。

ミラクルエッグも、タンパク質の分子構造を卵に近づけることで、固まる温度や質感など本物の卵の特性を再現した。そのため、加工範囲が限定される既存の人工卵液と異なり、普通の溶き卵として調理に使えるのが特徴だ。ただし、卵の風味に欠けるため、本物の卵と混ぜたり揚げ物のつなぎに使うことが想定されている。

しかしそれは、本物に取って代わる人工卵を作る技術がないからではなく、あえてそうしないDAIZの「ハイブリッド戦略」によるものだ。DAIZは、動物の肉の代わりに植物肉だけを食べる「植物肉第一期」の次に、動物の肉と植物肉が共存する「植物肉第二期」が到来すると予想している。消費者がおいしいと思って食べてくれなければ代替食品は成り立たず、その大きな役割である持続可能性も遠のいてしまう。植物タンパクだけでは、どうしても消費者の拒否感が残るため、ハイブリッドはひとつの有効な選択肢となる。また、代替食品が既存の畜産業を圧迫してもいけない。DAIZは、本物の肉と植物タンパクのハイブリッドで、それぞれの産業が共存できる社会を目指しているのだ。

現在、セブン-イレブンで発売されている「みらいデリ ナゲット」は、ミラクルミートと鶏肉のハイブリッド。「みらいデリ おにぎり ツナマヨネーズ」は、ミラクルミートとツナのハイブリッドだ。またミラクルミートは、同社のオンラインショップで単独で購入できる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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