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2023.08.11

「あたらない」生牡蠣の養殖に成功 世界初の養殖方法とは

プレスリリースより

生牡蠣は「R」の付く月にしか食べてはいけないと言われている。MayからAugustまでのRが付かない月は貝毒による食中毒の危険性が高まるからだ。しかし、感染力が非常に強いノロウイルスが流行するのは冬も油断できない。生牡蠣のおいしいシーズンでも、なかばハラハラしながら味わっている人も少なくないのではないだろうか。そんな牡蠣好きに朗報だ。あたる心配のない、世界初の完全陸上養殖牡蠣「8TH SEA OYSTER 2.0」(エイスシーオイスター2.0)が誕生した。

開発したのは、牡蠣の養殖やオイスターバーの運営を行うゼネラル・オイスター。2014年から沖縄に完全陸上養殖のための会社GOファームを設立し研究を続けてきた。通常、生食用の牡蠣は、出荷前の20時間ほど紫外線殺菌した海水に浸けて浄化するが、餌とともに取り込んだノロウイルスまで完全に除去するのは難しい。そこでゼネラル・オイスターは、ほぼ無菌の水深200メートルから汲み上げた海洋深層水を使うことにした。 

ただ、海洋深層水には菌がいないかわりに、牡蠣の餌となる微細藻類(植物プランクトン)もいない。牡蠣を海で養殖するのは、大量の微細藻類を人工的に準備するのが難しいからだ。しかし、海の微細藻類を与えてしまっては、それといっしょにノロウイルスも取り込まれ、海洋深層水による陸上養殖の意味がなくなる。そのため同社は微細藻類の大量安定培養技術も同時に開発し、完全陸上養殖を可能にした。また、海洋深層水の水温調整に使用する電力は海洋温度差発電で賄い、発電後の海水を二次利用している。この養殖方法は、日本のほか台湾、中国、アメリカで特許を取得している。

この牡蠣は、厚生労働省が定める生食用牡蠣の安全基準を、細菌数、大腸菌数、腸炎ビブリオ数ともに大幅に下回っている。ノロウイルスについては国が10コピー(ウイルス数)未満としているところ、0.1コピーでも検出されたロットは出荷しないと決めている。

今後は「8TH SEA OYSTER 2.0」の量産化施設を建設し、年間数十万個から数百万個の生産を目指す。さらに、微細藻類の種類により、牡蠣の栄養機能性やうまみ成分をコントロールできる技術を開発するということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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