北米

2023.08.11 15:00

米国の所得格差拡大、すでに「通常」をはるかに超えている

次に1970年の時点に目を移すと、黒人世帯の中間値と平均値の違いは26.3%だった。さらに、当時は比較的低所得の世帯が占める割合が高く、5万~7万4999ドルのカテゴリーの全体に対する割合は17.3%であるのに対し、1万5000ドル未満は22.7%を占め、20万ドル以上は黒人世帯全体のわずか0.3%だった。

2021年には、5万~7万4999ドルのカテゴリーに入る黒人世帯は全体の17.0%で、1万5000ドル未満は15.9%に減った一方で、20万ドル以上は5.7%に達した。

米国本土およびアラスカ先住民の世帯に関するデータは、1987年まで収集されていなかった。2021年の統計を見ると、5万~7万4999ドルのカテゴリーが全体の17.9%を占め、1万5000ドル以下は14.8%、20万ドル以上は5.9%だった。

ヒスパニックでは、統計が始まった1972年の時点で5万~7万4999ドルの占める割合が23.7%、1万5000ドル未満が10.8%、20万ドル以上が0.8%だった。これが2021年になると、真ん中のカテゴリーの割合が18.4%まで落ち込み、1万5000ドル未満が11.2%、20万ドル以上が6.6%という結果だった。

アジア系は、統計が始まったのが2002年と極端に遅く、統計的には例外的な存在となっている。この時点では、他の人種と同様に、5万~7万4999ドルのカテゴリーの世帯が14.8%と、最も多くの割合を占めていた。また、1万5000ドル未満は7.9%だったが、20万ドル以上の所得がある世帯の割合は11.1%と、他の人種と比較して突出して高かった。2021年になると、1万5000ドル未満の世帯の割合は7.8%とほぼ変わらなかったが、20万ドル以上の所得を得ている世帯は、全体の21.1%に達した。

どの人種でも共通して所得の上振れ傾向が認められる一方で、最も所得が高いカテゴリーが全体に占める割合には、人種によるばらつきが見られると言える。

だが、もう1つ不可解に思えるのは、この50年強の間、全体に占める割合が最も高いカテゴリーが5万~7万4999ドルであり続けている点だ。この間、インフレによって、同じ額の収入でもその相対的な価値は下がっていることから、米国の平均的な家庭では、生活必需品を手に入れるのも以前と比べて容易でなくなっている可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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