マティーニと並ぶクラシックカクテルとして知られるマンハッタン。一説には1876年のNYでジャネット・ジェローム(ウィンストン・チャーチルの母)が考案したとされ、マリリン・モンロー主演の『お熱いのがお好き』にも登場したことから、そのイメージはどこか女性的。カクテルの女王とも称されている。
しかしながら、その味わいはかなりマニッシュ。ウイスキーにスイート・ベルモットとビターズを茶さじ1杯ほど加えてステア......とされているレシピは現在バーボンを使うことが多いが、本来ライウイスキーを使うのがオリジナルだそうだ。
「そもそもアメリカンウイスキーとはライウイスキーに起源があるんです」と教えてくれたのは「ホイッスルピッグ」CEOのジェフ・コザックだ。
「開拓者が開墾した土地で育ったライ麦はフロンティアスピリッツの象徴。通常ライ麦を51%以上使用したらライウイスキーを名乗れますが『ホイッスルピッグ』はライ麦をほぼ100%使用。アメリカの原点に回帰したプレミアムウイスキーです」
アメリカンウイスキーのオリジナリティを取り戻そうと、選ばれた生産地はバーモント州だった。
「カナダと国境を接するアメリカ北東部です。ケンタッキー(=バーボン)からなるべく離れた場所にしたかったというのもあるけれど(笑)、この地は樽をつくるオークの生育の北限でもあり、ゆっくりと育ったオークの年輪に触れたウイスキーの深みと複雑さはほかでは得がたいものですからね」
この「ホイッスルピッグ」に魅せられ、バーモント州の生産地も訪ねたのは「Bar LIBRE」(東京・池袋)オーナーバーテンダーの清崎雄二郎だ。
「森林と美しく澄んだ湖が印象的な土地でした。以前はたくさんの家畜がいた牧場だったそうで、ブランドの名前の由来となった豚にも会えましたよ。口笛を吹くようなかわいいイビキをかいていたから『ホイッスルピッグ』となったそうです」
清崎がつくってくれたのは「ホイッスルピッグ」をソーダで割ったハイボールならぬ「ライボール」と、バーモント州の美しい湖を想起させるオリジナルカクテル「クリスタルレイク」。ともに「しっかりとボリュームがありながらスパイシーで余韻が長い」という「ホイッスルピッグ」の魅力を存分に味わえるカクテルであった。まだ見 ぬバーモント州の大自然へ思いを馳せながらいただこう。
ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ
容量|700ml
度数|50度
価格|11550円
問い合わせ|MHD モエ ヘネシー ディアジオ http://jp.whistlepigwhiskey.com
今宵の一杯はここで
Bar LIBRE池袋の駅からほんの数分。喧騒を背にし、階段を下りればそこは別世界のようにオーセンティックな英国調のバー。数々の世界的なカクテルコンペで入賞したオーナーバーテンダー、清崎雄 二郎をはじめ、世界で活躍するバーテンダーを輩出している名店だ。2022年にはジャングルをテーマにした銀座店を銀座一丁目にオープンさせ、そのコントラストを楽しむファンも多い。
Bar LIBRE
住所/東京都豊島区西池3-25-8 B1F
電話/03-5956-6406
営業時間/17:00〜1:00 無休(年末年始休)