パッパラパラ、パッパ。パッパラパラッパ、テキーラ!こうして文字に起こしただけで脳内に陽気なラテン音楽が再生されはしないだろうか。
1958年にアメリカのバンド「チャンプス」がヒットさせた曲「テキーラ」はいまもスタンダードナンバーとして歌い継がれ(実際の歌詞は「テキーラ!」しかないが)、親しまれている。この曲のおかげか、テキーラといえばとにかく明るく、ラテンなイメージ。かつては安価で手軽に酔える酒としてテキーラと炭酸水を1:1で混ぜたグラスをテーブルにたたきつける「ショットガン」を飲みすぎ、翌日は二日酔いで苦しんだ……なんて方も多いかもしれない。
しかし、この「クラセアスール・テキーラ・レポサド」をそうして飲むのはおすすめしない。なにしろ、メキシコ国内で、つまり世界で最も高価で高品質な、プレミアムテキーラだからである。
現在、テキーラはシャンパーニュ同様に原産地呼称制度が適用されており、メキシコ国内で認められた5つの州で生産された酒しかテキーラを名乗れないが、この「クラセアスール」はなかでもテキーラのメッカとして知られるハリスコ州グアダラハラ産。
9000年前から先住民族が食用・医療用として用いてきたリュウゼツランの一種であるブルーアガベの茎を職人の手によって刈り込み、伝統的な石づくりのオーブンで3日3晩加熱。長時間じっくりと加熱することで甘みを引き出したのちに、自社開発酵母を投入することでアルコール発酵を促す。ここから2回の蒸留を経て、雑味の多い部分をカットし、さらにはアメリカンオーク樽でじっくりと8カ月熟成させたのが、この「クラセアスール・テキーラ・レポサド」というわけなのだ。
「まずはこの美しい黄金色、そして熟成に由来するふくよかな香りが魅力です。テキーラといえばストレートで飲むか、カクテルベースとして考える方が多いと思いますが、このクオリティは食中酒としても十分楽しめるもの。特にソーダで割ってハイボールにすると、和洋中のジャンルを問わず合わせる料理の幅が広がります」と語るのは、紹介制のレストラン「No Code」の米澤文雄シェフだ。
そのクオリティにはデキャンタ(ボトル)にもあらわれており、白陶にあざやかな青で描かれた優美な模様は職人が一本ずつ手描きしているものだそう。まさにクラスアスール(青の品格)を漂わせる貴婦人のようなテキーラだ。
クラセアスール・テキーラ・レポサド
度数|40度
価格|24200円
問い合わせ|Clase Azul Asia https://www.claseazulasia.com/
今宵の一杯はここで
No Code米澤文雄シェフと遊ぶ、秘密の隠れ家22歳で単身NYへわたり、ミシュラン三つ星の名店「Jean-Georges」で日本人初のスー・シェフに。帰国後は「Jean-Georges Tokyo」の料理長として活躍し、自らプロデュースした「ザ・バーン」も人気店へと押し上げた米澤文雄によるカウンター8席だけのレストラン。紹介制のため予約は取りづらいが、眼前でシェフが調理&サービスしてくれる親密な雰囲気は何にも代えがたい。