食&酒

2023.05.07 18:00

乾杯から食中まで、オールラウンダーのシャンパーニュ

美酒のある風景 Vol .61「フィリポナ ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット」

美酒のある風景 Vol .61「フィリポナ ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット」

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は5月号(3月25日発売)より、「フィリポナ ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット」。ひと口含んで、さまざまなニュアンスを探すうちにもっともっと・・・と飲みたくなる1本だ。


自動車、ゲーム機、シャンパーニュ。就職試験の三題噺ではないけれど、この3者に共通しているのは“いま品薄なもの”だ。前者ふたつはご存じの通り半導体不足によるものだが、シャンパーニュはもちろんそれ故ではない。では、なぜ?「理由は大きく分けてふたつ考えられます」と語るのはモダンフレンチレストラン「L'ARGENT(ラルジャン)」(東京・銀座)のマネージャー小倉希望だ。

「まずは2020年のブドウ収穫期がパンデミックの渦中にあり、例年の8割程度しか収穫できなかったこと。次に、いち早く“コロナ明け”を表明した米国のリバウンド需要によりシャンパーニュが多く買い占められたこと。この2点の事象によりシャンパーニュが品薄になっているようです」

とはいえ、美食を楽しむ際にシャンパーニュは不可欠。せめて乾杯の一杯だけでも、と思う方は多いだろう。

「そんなときはドライすぎずに熟成したうまみを併せもつ万能タイプのシャンパーニュを選んではいかがでしょう。華やかな果実味と力強さを両方もっているから、アミューズから前菜や軽いメインまでさまざまな料理と合うと思います」とすすめるオールラウンダーなシャンパーニュの代表格が「フィリポナ ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット」である。

「フィリポナ」は500年超の歴史をもち、シャンパーニュ地方で最も古い家系のひとつである名家。1522年からアイ村に定住しており、17世紀には、フィリポナ家のブドウからつくられた“アイ村産のワイン”がルイ14世に献上されていたことからも、当時から上質なブドウを生産し、ワインを醸造していたことがうかがえる。

「『フィリポナ』のシャンパーニュを語るには、土壌の特異性が不可欠です。彼らが醸造拠点にしているマルイユ・シュール・アイ村は白亜紀のきめ細かい石灰土壌に、粘土質が混ざっているのが特徴。南に向かってゆるやかな傾斜をもつ畑で栽培されたピノ・ノワールがワインの骨格と力強さを、シャルドネがキリリとしたミネラル感を与えてくれています」

一般にシャンパーニュはシャルドネ主体のものが多いが、ピノ・ノワール主体であることも「フィリポナ」の特徴だ。ひと口含んで、さまざまなニュアンスを探すうちにもっともっと……と飲みたくなる。ちなみにシャンパーニュの供給は25年には回復が見込まれており、品不足も解消できそうとのことだからご安心をいただきたい。

フィリポナ ロワイヤル・レゼルヴ・ブリュット


容量|750ml
ブレンド|ピノ・ノワール65%、シャルドネ30%、ムニエ5%
価格|9900円(希望小売価格)
問い合わせ|アルカン(Tel.03-3664-6591)

今宵の一杯はここで

L'ARGENT
銀座の一等地を見下ろすモダンフレンチ

「これからの季節、テラスでの アペリティフもおすすめです」と小倉 希望氏。

「これからの季節、テラスでの アペリティフもおすすめです」と小倉 希望氏。

「掛川茶とフォワグラ」 はコース(昼¥15,000、夜¥25,000 *ともに税込みサ別)内の一皿。

「掛川茶とフォワグラ」 はコース(昼¥15000、夜¥25000 *ともに税込みサ別)内の一皿。

銀座4丁目交差点を見下ろす絶好のロケーション。名店「タテルヨシノ」で修業後、パリの三つ星「アストランス」や、デンマークの二つ星店「AOC」などを経て帰国した加藤順一シェフによるモダンフレンチは20年にオープン以来、2年連続でミシュラン一つ星を獲得している。「掛川茶とフォワグラ」は静岡出身の加藤シェフが自ら摘んだお茶をソースに仕立てたアイコニックな一皿。
L'ARGENT 住所/東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE 7F Tel. 03-6280-6234 営業時間/11:30‾15:00(LO13:00)・18:00‾23:00(LO20:30)、バー16:00(火18:00)‾23:00(LO22:30)定休/月

L'ARGENT
住所/東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE 7F
Tel. 03-6280-6234
営業時間/11:30‾15:00(LO13:00)・18:00‾23:00(LO20:30)、バー16:00(火18:00)‾23:00(LO22:30)
定休/月

photographs by Yuji Kanno|text and edit by Miyako Akiyama

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