ヘンリー:日本ではたいていの物事がゆっくりとした変化のプロセスを経て、転機が訪れると急速に変わり始めますよね。
中道:それも文化の一部です。
ヘンリー:良くも悪くもそうだと思います。日本の多くの組織は、製品ラインをグローバル化したり組織内のグローバルマインドセットを強化したりすることに関心を持ち、それを実現させるには外部から新しいリーダーを招いたり人材を獲得したりする必要があることに気づいています。以前は、ボードルームでそういうことが語られることはあっても、実際に実行されることはありませんでした。
今は、多くの日本企業がグローバル・サーチ会社を使って、グローバルマインドを持った人材を発掘しビジネスに役立てようとしています。また、入社する人たちも、日本企業を助けたいという積極的な意思を持っている人が多いです。
しかし、そうやって入社した人たちの多くは、経営陣や社長が望む改革を実際に推進することができずに外資系企業に戻ってしまいます。私の使命の1つは、日本企業のリーダーがもっとグローバルになるように支援することですが、これが非常に難しい。
中道:日本企業にはどのような変化が必要だと思いますか。
ヘンリー:日本企業で働いたことのある人たちから話を聞くと、新しいことをやろうという意欲は若い世代や中間管理職の人たちにあるようです。しかし、変化を生み出すことは彼らにとって大きなリスクになりますし、どうやって変革を起こせばよいのかわからないようです。結局のところ、経営陣は多大なコストがかかり痛みを伴うような変革に対して投資をしたがらないためグレーゾーンで終わります。
楽天やファーストリテイリングのように世界レベルで成功を納めている企業は、トップが強いビジョンと明確な目標を掲げています。英語を使い、外国人マネージャーを日本本社に迎え入れて、グローバルな人とはどのようなものか他の人々の理解を促し、グローバルな対話を生んでいます。そうすれば日本人も海外に出ることに興味を持つようになります。
職場で発言することが奨励され、シニア・リーダーは若い人たちの考えを聞き、彼らが何をしたいのか、彼らにそのアイデアをどのように実行に移せると思うか尋ねます。これが成功する企業です。グローバルでも先進的でもなく、従業員との対話を重視するオープンな考え方を取り入れない企業の先は暗いでしょう。