リーダーシップ

2023.08.12 17:00

広告代理店から転職 日本の人材業界で見たグローバル化への課題

鈴木 奈央
中道:ある記事で読んだのですが、OECD加盟国のなかで日本の平均給与は最下位の3番目ぐらいでした。これでは能力のある人材を外から呼び込むことができません。

ヘンリー:給与は人々が快適な生活を送るための基本ですからね。日本の多くの組織が考え直す必要がある問題は他にもあります。例えば、若い人たちにどの程度の責任やオーナーシップを与えるのか。若い人たちのなかには、トップの人たちより賢い人も多いです。彼らはテクノロジーの仕組みをよく知っていますし、指先1つであらゆる知識や情報にアクセスできます。しかし、彼らが組織の中堅幹部や責任者になるには何年も努力する必要があります。

若い優秀な人材は、新しい経験を積むことや、大きな責任を持つことに飢えています。先日、非常に成功したマーケティング・ディレクター(CMO)と話す機会がありました。彼女はトヨタ自動車でキャリアをスタートさせましたが、自分が求めていたポジションを得ることができず、10年足らずで退職し、今は日本にある外資系企業にいます。このような話はよく耳にします。

企業は、若い人たちにより良い給料を与えるだけでなく、より質の高いキャリアを与え、若いうちから多くの責任を負わせるように変わっていく必要があります。
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中道:問題はわかっていても、どう変われば良いのかわからないというのが問題かもしれません。

ヘンリー:何かを成し遂げたいと願う若い人材はスタートアップやベンチャー企業に引き寄せられる傾向があります。そうした企業ほどグローバルなメンタリティを持っていますし、10年待つことなく、初日から責任ある立場で何かを成し遂げることができるからです。さらに彼らは毎週、努力の成果物を目にすることができます。今、彼らにとってスタートアップ・コミュニティやベンチャー・キャピタル・コミュニティは非常に刺激的な場所になっています。

中道:日本でもスタートアップが浸透してきて、次の時代に入ろうとしています。さて、今回は日本企業が変化するために必要なことに焦点を当てましたが、同時にこの国には多くのチャンスもあります。次回はそこについてお話しましょう。

文=久野照美 編集=鈴木奈央

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