かに座55番星e(55 Cancri e)は、地球の2倍ほどのサイズの惑星で、地球から40光年離れた赤色矮星をわずか17時間で公転している。表面が鉄を溶かすほど高温なため、惑星全体が溶岩の海に覆われていると考えられている。
最近まで、かに座55番星eは、自転と公転の周期が同じ「潮汐ロック」の状態にあるため、片方の面が常に昼であると思われていた。だが、新たな観測結果から、実際にはこの惑星に昼夜があることが示された。
ストックホルム大学の天文学者アレクシス・ブランデカーとその研究チームは、米航空宇宙局(NASA)のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と欧州宇宙機構(ESA)の宇宙望遠鏡CHEOPS(ケオプス)の観測データを使用し、かに座55番星eはこれまで考えられていたよりも温度変動が激しく、軌道にも変化があることを発見した。
先日、自身の研究室で筆者の取材に応じたブランデカーによると、中心星のこれほど近くを公転している惑星は通常、潮汐ロック状態になり、中心星に常に同じ面を見せていることが推測される。
しかし研究チームは、かに座55番星eの周辺で温度変動を確認。ブランデカーによれば、かに座55番星eの軌道は、同じ惑星系の他の惑星から長期にわたって受けてきた重力摂動のためにやや楕円になっているため、通常の昼夜サイクルがある可能性があると言う。
同じ惑星系で見つかっている他の3惑星は、かに座55番星eよりもはるか遠くを公転しており、何年も前に発見されている。
天文学者は、惑星が中心星の前を横切るところを観測することで、惑星の表面や想定される大気について多くを学び取ることができる。CHEOPSは2020年以来、かに座55番星eを複数回にわたり観測してきた。
ブランデカーによると、惑星の違う場所をいくつか観測することによって、予想よりもはるかに大きな変動が確認された。現時点では説明できないことがたくさんあり、データは今も分析中なので、チームの結論が100%正しいかどうかは分からないという。