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2023.07.29 12:00

スノーピーク社長に相談 世界に羽ばたくブランドの磨き方

スノーピーク会長兼社長執行役員 山井太(左)、筑水キャニコム社長 包行良光

山井社長はキャンプブランドを自ら作る中で、次世代の社員に同じ思いを伝えていくのか、それとも、新しいマーケット創出のためには変化があっても良いという柔軟な考えをお持ちなのか、どちらでしょうか。

大きな使命のもと、全社員でアプローチ

山井:スノーピークは2014年頃まで、キャンプ用品の企画製造販売を生業としていました。他社の製品よりも圧倒的に機能が高く、デザインもよく、耐久性も高く、システムデザインされている商品を開発していました。そうやって、ファンの方々を一人一人作っていくようなビジネスを展開してきました。
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今、スノーピークが何をやっているかというと、キャンプのカを使ってさまざまな事業を展開していくということです。

キャンプによって人間性を回復したり、企業を活性化したり、さまざまな用途にキャンプの力が使えると考えて、事業に取り組んでいます。大きくいえば、本来キャンプが持っている社会的使命と可能性を広げていくことに取り組んでいるんです。人と自然をつなぐ、自然の中で人と人をつなぐ──そのような使命のもとに、何の縛りもなく、全社員でアプローチをしています。

僕は第2世代で、第3世代の社員たちも大勢いるのですが、彼らには特に広げていってほしいと考えています。
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包行:確かにキャンプへの考え方はすごく変わってきているように感じています。私の場合、キャンプといえば、学校教育の一環として、虫と戦いながら「嫌々やるもの」のイメージがずっとありました。

大分県にあるスノーピークの奥日田キャンプフィールドでは、キャニコムの草刈機を使っていただいていますが、聞いた話では奥日田キャンプフィールドはスノーピークのキャンプ用品を利用することで付加価値が生まれ、キャンプ場の一般的な相場よりも値段設定ができている、と。ハイブランドと納得した上で使っていただくのは勉強になります。
スノーピーク奥日田キャンプフィールド

スノーピーク奥日田キャンプフィールド

スノーピークに聞く、世界での戦い方

包行:キャニコムは、国内の売り上げは農業人口の減少の影響もあり、横ばいもしくは年率販売が1、2%で減ってきているため、より海外展開が重要になってきます。スノーピークはアメリカのポートランドやロンドンに店舗をお持ちですが、世界で戦っていくための「ブランディング」についてはどうお考えですか。

山井:これからスノーピークの海外展開の主戦場は、アメリカと中国になると思います。その次にヨーロッパやオセアニアなどが控えていますが、どこであってもやることは変わらないんです。キャンプのカテゴリの中でも差別化された「おしゃれなキャンプ用品」を訴求し、キャンプフィールドをプロデュースし、日本のスタイルのキャンプやグランピングを浸透させることで、体験価値を向上させていく。
スノーピークは、海外にも日本のキャンプスタイルを展開していく

スノーピークは、海外にも日本のキャンプスタイルを展開していく


山井:アメリカではバックパッキングキャンプやキャンピングカーやトレーラーを引っ張っていくようなキャンプが主流で、日本のようにSUVや4WD、ワンボックスカーにキャンプ用品を積んで、家族で楽しむおしゃれなキャンプ場というのはあまりないんです。スノーピークは日本で1988年から今のスタイルのキャンプビジネスを展開してきましたが、これから同じことをアメリカや中国でも展開していかなければいけないと思っています。
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文=督あかり

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