米ワシントン州では、ここ数カ月に5人のリステリア症患者が報告されている。リステリア菌(リステリア・モノサイトゲネス)への感染で起こるリステリア症のアウトブレイク(集団発生)と認定されるには十分な規模で、当局は状況を注視しているに違いない。しかも、患者たちの症状は重篤だった。州保健局の
発表によると、5人(男性2人と女性3人)はすべて入院し、すでに3人が亡くなっている。おそろしく高い割合だ。
タコマ・ピアース郡保健局の
説明に基づくと、患者5人というのはすでにワシントン州全体の通年の想定患者数の20〜50%に達したことを意味する。アウトブレイクというのはある病気の発生が通常よりも増えることだから、ピュージェット湾エリアでの今回のリステリア症発生はそれに当たると言えるだろう。
また、これら5件の感染例はてんでばらばらに生じたものではなく、関連性があるようだ。4件はピアース郡内で起きており、残り1件も隣のサーストン州で発生している。全ゲノム解析の結果からは各患者のリステリア菌が似たような遺伝子パターンをしていることがわかっていて、感染源が共通だったことが強く示唆される。ただ、当局は現時点では感染源を突き止められておらず、疑いのある食品の店頭撤去はできていない。
リステリア菌は通常、土壌や水、腐敗植物、動物の糞といった湿った環境に見つかる。人間がこれらから直接菌を取り込むことは普通はないだろう。体内に取り込んでしまうのは、たいていの場合、リステリア菌に汚染された食品を通じてだ。
原因になることの多い食品は、ソフトチーズ、ホットドッグ、ランチョンミート、デリミート、デリサラダ、冷製パテ、ミートペースト、冷製の魚介類の燻製など。これらの食品は、リステリア菌を殺すのに必要な約74度以上での加熱が施されていない場合が多いためだ。パックで売られているホットドッグは中までしっかり加熱すれば問題ないが、軽く温めるだけでは安心できない。間違っても、パックの汁をすすってはいけない。