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2023.07.25

AIは大卒者の就職準備と雇用者の採用計画の両方に再考を迫る

急速に変化する雇用市場に対処するために、AIの破壊的な影響が大卒者と雇用主の両方に影響を与えている(Getty Images)

新しい調査結果が示すところでは、大学卒業生は自分たちの就職について、ChatGPTのような先進的な生成AIツールの登場による影響に悩みを感じている。

また、雇用者たちも新技術の急速な発展が採用環境を大きく変えていることを認識し、AIを活用した仕事の能力と「ソフトスキル」(感情的知能、交渉、コミュニケーションなど)を兼ね備えた新入社員を求める傾向が見られる。

この調査結果は、2023年6月にオンラインプラットフォームPollfishが実施した2つの調査結果を元にして、Cengage Group(教育コンテンツ、テクノロジー、サービスを提供する企業)の2023年新卒者雇用傾向レポートに掲載されたものだ。

・卒業生側を対象とした調査では、18歳から65歳までの米国在住の男性と女性1000人が、教育プログラム(準学士、学士、修士の学位、職業訓練や資格取得など)の経験と、最近の職探しについての見通しを提供した

・雇用主側の調査では、組織内で雇用責任を負う18歳から65歳までの米国人男女1000人を対象に、特定の職務に対する候補者の適性を判断する際の見解について尋ねている

卒業生からの視点

卒業生の半分以上(52%)が、AIの進化により自分の職業への準備状況を再評価する必要があると感じている。自身の仕事がAIによって置き換えられる可能性についての意見は分かれており、46%が新たな技術の進化を脅威と捉え、一方で55%が自分の仕事はAIによって絶対に置き換えられないと感じている。

卒業生の61%がAIの影響でデジタルスキルを獲得あるいは強化する必要があると述べ、また65%がAIを活用した仕事に対するさらなる訓練を望んでいる。

学校で最初の仕事に必要なスキルを学べたと答えた卒業生は41%に過ぎず、2022年の63%から大幅に減少した。不足していると思われるスキルについては、約4分の1がソフトスキルの指導を挙げた。卒業生のうち58%が、大学やその他の教育プログラムは、卒業時に職場で必要とされるスキルを学生に教えるためのコースやプログラムの開発において、雇用者とより密接に協力すべきだと指摘した。

インターンシップやエクスターンシップ、実習プログラムは、これらのスキルを学生に身につけさせるのに理想的な職場体験であるが、今年の調査では、卒業生のうち47%だけがそのようなプログラムに参加したと述べている。これは、2022年に参加した63%と比べて減少している。これらの経験のいずれかに参加した卒業生のうち、35%が自分がプログラムを見つけるための指導を学校から受けられなかったと報告している。

全卒業生の半数(49%)が、自身の就職を学校が斡旋する責任があると考えており、特に学位プログラムの卒業生ほど、その学校が就職のつながりに責任を持つべきだと強く感じている。

雇用者が新卒者をどう見るかという視点が変わりつつあることを反映し、卒業生は大学の学位が自身のスキルを雇用者に示す最良の手段だという確信が薄れつつある。2023年には23%しかそのように考えていないが、これは2022年の32%から減少している。

一方、学位要件が緩和されているためか、新卒者は新人レベルの仕事に応募する自信と適性を感じるようになっている。2023年に新人レベルの職務に応募する資格がないと感じたのはわずか33%で、2022年と2021年にはそれぞれ49%と50%が資格がないと感じていた。
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翻訳=酒匂寛

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