教育

2023.07.20

コロナ休校で米10代の自殺激減 学校が精神衛生に及ぼす影響浮き彫りに

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米国で、新型コロナウイルスの流行にともない学校が閉鎖されていた期間中、10代の自殺や自殺未遂の発生率が過去最低となったとの調査結果が19日、発表された。子どものメンタルヘルスは学期中に最も悪化する傾向が示されている。

米テキサス大学ヒューストン医療科学センター公衆衛生大学院の研究チームは、2016~21年に起きた7万3000件以上の救急外来受診と入院を調査。この期間中、10~18歳の子ども10万人当たりの自殺関連の年間来院数の平均は964件だった。

研究チームによると、子どもの自殺傾向(実際の自傷行為と自殺念慮を含む)は数十年間にわたり上昇傾向にあり、子ども10万人当たりの割合は2016年には760件だったのが、2019年には1006件に増加。だが、新型コロナ流行が始まった2020年には942件に減少した。

自殺傾向は、大半の年では4月と10月にピークとなり、学校が休みの夏季に激減していた。だが2020年はこのパターンが乱れ、新型コロナ対策として学校が閉鎖された4~5月に最低となった。

地域別では中西部の自殺傾向が最も高く、中でもコロラド、ワイオミングの2州が上位だった。これは、標高の高さと自殺傾向の間に強い相関関係があることを示した過去の研究結果とも合致する。

自殺傾向は性別、年齢、地域によって異なり、女子は男子の2倍高かった。年齢別では、16~17歳まで上昇した後、下降していた。

研究チームによると、学期中には睡眠不足や学校でのいじめ、アルコールや薬物乱用に関する周囲からの圧力などのリスク要因により、子どものメンタルヘルスが悪化する傾向にあることが、過去の研究から示されている。休校期間中に子どもの自殺傾向が明らかに低下していることから、経済状況や気象、季節性情緒障害といった他の要因は考えられないという。

米国では、子どもの自殺傾向が2008年から2015年にかけてほぼ倍増。メイヨー・クリニックによると、その要因としては、うつ病や不安症、双極性障害といった精神疾患のほか、思春期にともなう変化や、物質使用障害などがあり、暴力やいじめを受けたり、自殺の手段となる銃や薬物が身近にあったり、家族や友人を亡くしたりすると自殺傾向はさらに高まる。

ハーバード大学の研究では、リモート学習は子どもにとって社会・情緒面での障害を生むことが示されている。特に幼い子どものかんしゃくや不安が増したり、感情をうまくコントロールできなくなったりしたことが、家族により報告されているという。

科学誌ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビアに発表された論文では、15カ国を対象とした分析により、新型コロナ流行中に子どもの学習に遅れが出たほか、対面での指導が減ったことで社会性の発達に影響が出たことも示されている。

米紙ニューヨーク・タイムズはスクールカウンセラーの話として、新型コロナ流行によって子どものうつや不安症が増加したと報道。保護者が子どもに関して持つ懸念を調べたピュー研究所のアンケート調査では、メンタルヘルス関連の懸念が40%と、いじめや暴力事件、ドラッグ、アルコール、若年妊娠を抜いて1位となった。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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