今回の白眉のアクションは、予告編などでも映像が流れているが、得意のバイクを走らせ、海抜4000フィート(約1200メートル)の断崖からジャンプするというものだ。そして、地上から500フィート(約152メートル)のところでパラシュートを開き、着地する。
このシーンのために、トムは1年間リハーサルを繰り返し、1万3000回以上のバイクでのジャンプと500回以上のスカイダイビングをこなしてきたという。その驚異のシーンは、あらためてスクリーンで目撃する価値がある。
また「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」は、そのタイトルからもわかるように、大きな物語の第一部であり(「PART TWO」は来夏公開予定)、そのスケールは前6回のシリーズを遥かに凌ぐものとなっている。
ストーリーは概ね次のようなものだ。
主人公であるイーサン・ハント(トム・クルーズ)が所属する組織はIMF、「Impossible Missions Force」の略で、「不可能任務実行部隊」と訳されている。そのIMFエージェントのイーサンに課せられた今回のミッションは「全人類を脅かす新兵器を、悪の手に渡る前に見つけ出すこと」だった。
イーサンがIMFに所属する前の、ワケありの過去を知る元上司ユージーン・キトリッジ(ヘンリー・ツェーニー)から「大義のための戦いは終わりだ」と告げられるなか、イーサンたちのチームは、アブダビ(アラブ首長国連邦)の空港を振り出しに、ローマ、ベネチアと激烈なミッションを繰り広げる。
砂漠での激しい銃撃戦あり、市街地での息を呑むカーチェイスあり、列車上での紙一重のバトルあり、次から次へと繰り出されるアクションシーンは健在だ。その目まぐるしい攻防のなか、イーサンたちは、今回のミッションは絶対に成功させなければいけないものだということを悟るのだった。
「全人類を脅かす新兵器」については、冒頭で少しだけその片鱗が描かれるが、全貌は「PART TWO」へと引き継がれていく。また、イーサンの過去についても触れられるシーンが多々あり、シリーズ全体を視野に入れたスケールの大きさも感じられる。とにかく、2時間43分の上映時間は、いつものようにあっという間に過ぎていく。