食&酒

2023.07.22

安いコーヒーの苦い真実。2度の「コーヒー危機」とは?

エシカルなコーヒーを選ぼう

日本人の7割近くが毎日飲んでいるコーヒー。そんな身近な飲み物に、苦い真実があることを知っているだろうか。

実は、安価なコーヒーの多くが環境破壊を引き起こし、発展途上国の貧困を生んでいるのだ。

今回は、コーヒーが生む貧困・環境問題とそれらを解決するためにできることを解説する。

安いコーヒーが環境を破壊している?

安いコーヒーの需要が拡大することで、生産者は質よりも効率を追求するようになり、まだ完熟していない果実も含めて一気に収穫してしまう。結果的に商品にならない未成熟豆や欠点豆が増え、フードロスが多くなってしまうのだ。

コーヒーの品質が重視されるようになれば、生産者の意識が高まり、丁寧な収穫が行われて資源の保全につながる。

2度の「コーヒー危機」



1989年から2007年の間に、コーヒーの国際価格は2度の大暴落・低迷期を経験している。大暴落した要因は、国際コーヒー協会がコーヒー豆の輸出量・輸入量の制限をやめたことや、コーヒーの供給量が大幅に増加したことだと考えられている。

収入を少しでも多くするために、子どもを学校に活かせずにコーヒー収穫に駆り出す事例も増え、児童の退学率が増加した地域もあったようだ。

コーヒーの価格が上がると?

実は、単純にコーヒーの価格が上がれば問題が解決するわけではない。

自然な価格上昇であれば、生産にかかるコストは一定のままなので収入は増える。しかし、1997年に訪れた価格上昇は、投機目的でコーヒーが売買された結果であり、一時的なものに過ぎなかった。

この上昇に反応してコーヒー栽培を始めた人たちは、期待していた利益が得られず、苦しい思いをしている。

これらの問題を解決するために何ができるのだろうか。

フェアトレードを普及させる



フェアトレードによってコーヒー農家の貧困を改善できると考えられているが、現在はフェアトレードコーヒー市場が広がっておらず、影響力も限定的になってしまっている。

2007年のフェアトレードでのコーヒー販売量と総輸出量から計算すると、フェアトレードの割合は1.08%程度である。(千葉大学より)

現時点では、フェアトレードが多国籍企業の市場支配力に対抗でき、生産者を守れる代替案とは言い難い。
次ページ > 安いコーヒーに惑わされないで

文=エシカルな暮らし編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事