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2023.07.13 11:15

米納税申告サイト、個人情報を無断でメタやグーグルと共有

遠藤宗生

Tada Images / Shutterstock.com

米国で納税申告サイトを運営する企業3社が、数年にわたり数百万人の利用者の個人情報を本人の同意なしにメタやグーグルと共有していたと指摘する報告書が12日、議員グループにより発表された。納税者のプライバシー保護に関する法律に違反した可能性がある。

報告書によると、TaxAct(タックスアクト)、H&R Block(H&Rブロック)、TaxSlayer(タックススレイヤー)の3社は、利用者への通知やデータ共有の同意確認をしないまま、追跡ツールを使用し、顧客データをメタやグーグルと共有していた。

3社は議員らに対し、顧客の氏名や住所、電子メールアドレス、控除や免除の資格の有無といった情報を共有していたと説明。報告書によると、3社は納税者データを「不注意」に扱ってきており、メタとグーグルに共有・使用されるデータの範囲を理解していなかった。メタは議員らに対し、共有されたデータをターゲット広告や人工知能(AI)アルゴリズム訓練に使用したことを認めたという。

調査は、エリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党議員が主導した。フォーブスは3社にコメントを求めたが、返答は得られていない。

議員らは、内国歳入庁(IRS)や財務省税務管理監査官、司法省、連邦取引委員会(FTC)の各連邦機関に対し、企業の違法行為を調査し訴追するよう要請した。データが共有された納税者の具体的な数や、そのデータが現在どのような状態にあるのかは不明だ。報告書によると、2022年の納税申告は、80%以上に相当する計2億件以上が電子申告によって行われていた。

この問題は、調査報道機関のThe Markup(ザ・マークアップ)が昨年11月に報じていた。メタとグーグルは、「トラッキングピクセル」と呼ばれるツールを通じてデータを収集していたとされる。トラッキングピクセルとは、ウェブサイトのオーナーが情報を収集するためにサイトに入れることができるコードだ。

議員の報告書によると、マークアップの報道を受け、納税申告サイト運営3社はいずれもメタのトラッキングピクセルの使用を中止。だが、メタとグーグルのツール使用により、その時までにすでに多くの個人データが共有されていた。

H&Rブロックは議員らに「少なくとも2、3年」にわたりこのツールを使っていたと証言。報告書によると、タックススレイヤーは2011年にグーグル、2018年にメタのツールの使用を開始。タックスアクト2014年にグーグル、2018年にメタのツールの使用を開始していた。

IRSは、2024年から無料の電子申告サービスを開始する予定だ。IRSが今年公表した報告書によると、米国民の72%が、民間のオンライン申告サービスに代わるものを政府が提供することを望んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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