経済・社会

2023.07.07 16:30

生成A Iの主導権を握るのは誰か|サマーダボスリポート4

山本 智之
──生成AIの活用については、国際的なルール形成が必要だと思いますか。それとも各国が独自の価値観や倫理観に基づいて方針を検討すべきだと思いますか。
 
どちらのアプローチにも利点と考慮すべき点がある。
 
世界共通の規制を支持する人たちは、テクノロジーは本質的にグローバルなものであり、その影響は国境を超越するため一貫性を確立することが重要だと考えている。また、断片的に課された規制がイノベーションの妨げになったりするのを防ぐことにつながるという考え方もある。
 
他方、各国による独自の規制を支持する人たちもいる。文化的、社会的、経済的背景が違えば、規制の意味合いも異なってくる。独自の規制ならガバナンスの手段を調整する必要が出た場合に柔軟に対処しやすく、イノベーションの促進や多様な視点への対応もしやすいとの考え方もある。
 
答えはおそらくその中間にある。つまり、いくつかのアプローチを組み合わせるべきだ。普遍的な規制は共通の課題に対処し、責任と発展を促す基盤を提供できる。一方、各国の状況に応じてより具体的な規制も認められるべきだ。
 
──生成AIは「敵」ですか。それとも「味方」ですか。
 
目的によって友人にもなり得るし、あまり友好的ではなくなる可能性もある。
 
結局のところ、テクノロジーは私たち人間の姿を映し出すものでしかない。産業と規制の両面から、いかにして利用を促進し、必要不可欠なガードレールを設置するのかを常に確認することが重要だ。そして、これは産業界をリードするすべての人に言えることなのだ。

文=瀬戸久美子 写真=世界経済フォーラム

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