気候・環境

2023.07.05 11:30

7年ぶりエルニーニョ発生、世界で記録的猛暑の恐れ

米ダートマス大学の研究チームが5月に発表した研究論文では、今回のエルニーニョが2029年までに世界経済に与えうる損害額は3兆ドル(約430兆円)と推定されている。

ターラスは「WMOによるエルニーニョ発生の宣言は健康、生態系、経済への影響を抑えるために、各国政府に備えを促すシグナルだ」と説明。「関連した異常気象に対する早期の警告と先を見越した行動は、生命と生活を守るために不可欠だ」とも訴えた。

エルニーニョでは通常、太平洋で強い台風が発生する可能性が高まる一方で、大西洋ではハリケーンが発生しにくくなる。だが今回はそうではないかもしれない。米メリーランド大学の科学者ロバート・リーモンは、大西洋は今年「異常に暖かい」とポリティコに語った。これがエルニーニョの影響を帳消しにして、強いハリケーンが発生する可能性があるという。

エルニーニョの発生はすでに、米海洋大気局(NOAA)などが発表していた。これまでは太平洋の海面水温が平年より低くなるラニーニャ現象が起きていたが、それでも世界は気候変動の影響ですでに熱波に見舞われていた。

過去8年間は世界的にこれまでで最も暖かかった。米国は最近、山火事の煙と猛暑に見舞われ、各地で最高気温の記録を更新している。

5月に発表されたオーストラリアの研究論文では、気候変動がエルニーニョとラニーニャを「より頻繁に、そしてより極端に」している可能性が高いと指摘している。一方で、英紙ガーディアンは専門家の話として、現在のエルニーニョで事態がどれほど悪化するかはまだわからないと伝えている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子・編集=遠藤宗生

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