働き方

2023.07.12 16:00

創造的なチームづくりは「引っ越しの手助け」と同じ

デビッド・ジカレリ|Cycling’74 創業者兼CEO

──あなた自身も優れた開発者であり、経営者でもあります。それは両立することですか?
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私がよく使う例え話は、「あなたが友達に引っ越しの手伝いを頼んだ場合、いちいち運び方まで指示しますか?」ということです。部屋には私が招いた人しか入れませんが、指示はしません。私自身も家具を運びます。

Cycling’74ではいま30人ほどがフルリモートで働いていますが、マネジャーはいない。私も開発者のひとりです。私のCEOとしての役割は、すべての同僚に創造性を発揮する機会を与えることです。Cycling’74が幸運なのは、もともと製品が好きで、かかわりたいと思っている人たちが働いていることです。メンバーの半数以上がなんと20年以上も一緒に働いています。これはIT企業では極めて異例のことです。

自身や働く人たちの創造性が満たされていれば、過度にお金を追い求めることもない。クリエイティビティを求めて働いていることの特典です。
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いま、私たちが生きている世界は、恐らく私たちが教育を受けてきた世界とまったく異なります。世界の大多数の人にほんの少しのインパクトを与えるのではなく、少数の人に大きなインパクトを与えることもできる。もしすごいアイデアを思いついたら、たった5人の人向けにつくってみるのもいい。私なんて、Cycling’74スタート時点では「ユーザーはすべてデビッドの友人だ」と言われていたくらいですから(笑)。


デビッド・ジカレリ◎1980年代よりソフトウェア開発に携り、97年Opcode Systemsが Gibson Guitarに買収されるに伴い、Maxの開発を続けるためにCycling’74を創業。2017年、野心的なプロジェクトの開発のためにドイツのAbleton社に吸収合併。約8年かけMaxをWebサイトやモバイルで利用できる「RNBO」を開発、22年末リリースした。

インタビュー=岩坪文子 写真=トーマス・オバリエ

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