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2023.07.04

Apple Vision Pro、初年販売数は「40万台以下」 生産で問題発生か

アップルが来年発売予定の複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」(Getty Images)

英紙ファイナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、アップルが来年初めに発売予定の複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」で生産の問題が生じ、同社は予想生産台数の大幅引き下げを強いられた。

3499ドル(約50万円)で発売されるVision Proは、アップルにとってここ数年で最も野心的な製品。生産台数の大幅引き下げにより出端を挫かれることとなる。

FT紙は、アップルや、Vision Proの組み立てを委託されている中国の立訊精密工業(ラックスシェア)に近い複数の匿名筋の話として、Vision Proの設計の「複雑さ」と「製造の難しさ」により、2024年の生産目標が40万台以下に引き下げられたと報道。さらに、中国のサプライヤー2社の話として、アップルが2024年の生産に向けて発注した部品の数は13万〜15万台分のみだと報じた。

設計が複雑となった大きな要因の一つに、高価な高解像度マイクロOLEDディスプレイを両目にそれぞれ1個ずつ使用していることがある。マイクロOLEDディスプレイの生産は、歩留まりが低いという問題がある。

FT紙は、この問題によりアップルがVision Pro廉価版の計画を延期せざるを得なくなったとも報じた。

アップルが先月発表したVision Proをめぐっては、アナリストらが2024年の販売台数をさまざまに予想してきた。投資会社ウェドブッシュのアナリストは、2024年は15万台程度、2025年は100万台と予想。バンク・オブ・アメリカのアナリストはより強気で、最初の1年間で150万台を販売すると予想した。アップルは当初、初年度の販売台数を100万台と予想していた。

これに対し、この分野をリードする米メタがこれまでに販売した仮想現実(VR)ヘッドセットの総数は、今年3月時点で2000万台だ。同社が最初のヘッドセットであるOculus Riftを発売したのは2016年であることから、VR市場の規模は比較的小さいと言える。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子・編集=遠藤宗生

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