製品

2023.06.14 10:30

Apple Vision Pro唯一の問題は「ソーシャルではない」こと

安井克至

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

未来はソーシャルにある。

この言葉は、地球上のすべての人、特にApple(アップル)で働く人たちの心には響かないかもしれない。未来はAIやその他のイノベーションがすべてだと主張する人もいるかもしれない。

とはいうものの、アップルがTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)のようなソーシャルメディアアプリを今までに作ってこなかったのは不思議だ。iPhoneは社会の隅々まで完全に支配しており、私たちは1日中、携帯電話でソーシャルメディアアプリを起動している。しかし、一流のテック企業として、ソーシャルメディアは本気で取り組む領域ではないようだ。

先週、アップルが「Vision Pro」ヘッドセットを発表したとき、それはさらに明白になった。ほとんどすべてのデモや、新しいデバイスを実際に試した人たちの中で、ヘッドセットを1人で装着し、座って、ほとんどコンピュータのように使うという感覚がある。

それは、MacBook(そしてIBMには申し訳ないが、多くの意味でパーソナルコンピュータそのもの)を発明した会社として納得のいくものだ。しかしMeta(メタ)のQuest VRヘッドセットのデモを見ると、人々はほとんど常に、インターフェースを通じて、あるいはグループで、互いに関わり合っている。これは意図的なもので、特にマーク・ザッカーバーグが先週(WWDC2023開催日と同週)、会社のイベントでアップルの新しいヘッドセットについて述べたコメントを考慮すると、明らかだ。

長い引用だが、ここで彼のコメントを振り返ってみよう。

「メタバースと我々のあり方に関する私たちのビジョンは、基本的にソーシャルなものです。人々が新しい方法で交流し、新しい方法で親しみを感じるというものです。私たちのデバイスは、自身がアクティブになり、物事を遂行するためのものでもあります。それに対して、彼らが見せたデモはどれも、人が1人でソファに座っているものでした。それは、未来のコンピューティングのビジョンかもしれませんが、私が望むものではありません。私たちの取り組み方には、本当に哲学的な違いがあるのです。そして、彼らが何を出し、どのように競争しようとしているのかを見て、私はさらに興奮し、さまざまな意味で、私たちのしていることは重要であり、成功するのだと楽観的になりました。楽しい旅になりそうです」
次ページ > ジョブズもiPhoneが私たちのつながりを助けるものであることも強調した

翻訳=Akihito Mizukoshi

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事