そうした中、オーダーメイド介護サービスを運営するイチロウは6月、仕事をしながら介護を行う35歳〜69歳の男女400名を対象に、「介護と仕事の両立に関する意識調査」を実施。そこからは、介護のためにキャリアに苦戦するリアルなビジネスケアラーの事情が見えてきた。
まず、介護と仕事の両立が難しいと感じるかを聞いたところ、全体で最多が「とても難しいと感じる」(44.8%)となり、「やや難しいと感じる」(41.3%)と合わせて86.1%に。世代別に見ると、「とても難しいと感じる」割合が最も高かったのは30代で約半数(49%)を占め、「やや難しいと感じる」(42%)と合わせて9割(91%)を上回った。
介護と仕事の両立が難しいと感じる理由については、全体で「身体的な負担」が上位に共通する一方、世代によって異なる特徴が見られた。30代では「勤務時間や終業時間の調整が難しい」(3位・44%)、40代では「両立によりプライベートの時間が取れない」(3位・41.5%)など、時間に関するものが上位で目立つ結果に。50代では、「常に介護のことが頭にあり、ストレスが蓄積される」(1位・38.6%)、60代では「介護の長期化を考慮すると、財政面での不安がある」(2位・38.6%)など、メンタルや経済面に関する理由が上位に並んだ。
さらに、介護と仕事の両立をする上で、仕事上の制約を設けたことがあるかを質問すると、全体で「はい」の回答が半数超(52%)に。世代別では最多が30代で61%、次いで40代(51%)、50代(49%)の順となった。
具体的に受け入れた仕事の制約については、全体で「時短勤務」が最多となり、30代で最も多く50.8%。40代で43.1%、50代で40.8%と4割を上回った。他にも30代、40代では「異動不可による昇進断念」がいずれも3割を超え、約4人に1人が「正社員から契約社員、アルバイト・パートへの雇用形態変更」や「管理職への昇進断念」をしていることが明らかに。多くのビジネスケアラーが介護と仕事を両立させるために、キャリアの見直しを迫られている現状が浮き彫りになった。
厚生労働省の調べによると、介護離職者は毎年約10万人に及ぶ。もうすぐ誰にとっても介護が他人事ではなくなる1億総介護時代がやって来る。その前に、ビジネスケアラーを職場で、そして社会全体で支えていく早急な仕組み作りが求められている。
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