経営・戦略

2023.07.13 08:00

起業家・小嶋陽菜に南壮一郎、辻庸介が伝授した事業成長の「意外なコツ」

南:仕事を任せられる人を見つけたら、その人を信頼する。そして報酬をしっかり渡す。そのためにも、経営者は利益を出すことに徹底してコミットしてきました。利益というのは、お客様の課題を解決したことでいただくものである一方、会社で一緒に働く仲間の給与の伸びしろでもあります。利益が増えれば働く仲間の給与も上げられる。だからこそ、スタートアップであっても徹底的に利益を出しに行くのは大事だと思っているし、利益へのコミットは今のスタートアップのエコシステムで軽視され過ぎているのではと思っています。
 
小嶋:お客様に還元することに重きを置いていたので、確かにその意識は薄かったかもしれません。
 
南:ビジョンに共感して一緒に戦ってくれる仲間を幸せにすることが、経営者の重要なコミットメントの一つでもあると思っています。もう一つは、仲間の市場価値へのコミット。会社で得たスキル、経験、知識により、働き手として、入社時よりも高い価値でほかの会社に転職できること。そのような覚悟を自分は経営者として大切にしてきました。
 
辻:例えば、3年、5年、10年先に、どういう会社をつくりたいか。みんながワクワクできるか。そういった将来像を描けるといいと思います。それは社長しかできない役目なので。
 
小嶋:一緒にいる仲間だったりずっとついてきてくださっているお客様、まわりのスタッフが幸せな状態を、会社の将来の姿として思い描いていて。お二人にお話しいただいたことを実現できたら、それが叶うのかなと思いました。RISING STARの起業家の皆さんは、創業3年以内で私と似た境遇にいる方も多いと思うので、これからも一緒にがんばっていけたらと思います。


小嶋 陽菜◎heart relation創業者/代表取締役CCO。2005年にアイドルグループAKB48に第1期生として加入し、17年に卒業。18年6月にライフスタイルブランド「Her lip to」をリリースし、2020年1月にheart relationを創業。全アイテムの商品企画とクリエイティブ制作に携わるだけでなく、ブランド運営全体を執り仕切る。2022年2月より現職。
 
南壮一郎◎Visional代表取締役社長。1999年、米・タフツ大学卒。モルガン・スタンレー証券などを経て、楽天イーグルス創設に従事。2009年にビズリーチを創業。20年2月、「Visional」としてグループ経営体制へ移行。
 
辻 庸介◎マネーフォワード代表取締役社長CEO。京都大学農学部を卒業後、ペンシルバニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、2012年にマネーフォワード設立。新経済連盟 幹事、経済同友会 幹事、シリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム エグゼクティブ・コミッティー。

文=加藤智朗 写真=小田駿一

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