ポジティブにワークする権限移譲の仕組み
谷本:小嶋さんからお二人に、いま悩んでいることで聞きたいことは?小嶋:今の大きな課題は、権限移譲だと思っていて。現在はブランドのプロデュースをしながら経営のことや組織のことなどすべてに関わっています。自分でやるのが好きだからやっているのですが、それでもやはり役割を切り離していかないと事業が成長していかないという葛藤があります。どうやってお二人がこれまでに権限移譲をしてきたのかを伺いたいです。
辻:僕も未だに悩んでいるのでこれという答えはないんですが、権限移譲はそんなに綺麗なものじゃないというのを先輩から学びました。経営者というのは結果がすべてなので、権限移譲が目的ではなく、組織として成長して結果を出すために権限移譲するというのを前提に考えています。
権限移譲の方法ですが、渡す仕事の難易度とその渡す先の人の能力をふまえて、仕事の渡し方を調整します。例えば100の難しさの仕事を70の能力を持っている人に渡すとき、70だけ渡して30は自分がフォローに入ると決める。そしてコミュニケーションを取る。適宜、週1回、月1回といった頻度で話す場を設けてフォローする。そういった仕組みを綺麗につくってワークし始めると、経営者も育つしメンバーも育ちます。その結果、段々とお互いにやれることが増えていって、組織全体でアウトプットが増えていく。そうなるとポジティブにまわっていって、楽しくなります。
小嶋:何をするにも、仕組み化が大事なんですね。
南:僕は創業期から、権限移譲という言葉を意識したことがあまりありません。創業したビズリーチという会社は、人材業にテクノロジーをかけ合わせた事業ですが、自分自身は人材業界での経験は一切なく、ITやテクノロジーに精通しているわけでもない。創業メンバーのなかで、私の役割は便利屋さんのようなもので、共同創業者たちができない仕事をしていました。
そういったかたちで仕事をしていくなかで、自分の仕事をほかの人にやってもらうことを考えた場合、自分よりもその仕事ができる人がいれば、権限移譲というか自分がやるよりもその人にやっていただいた方がよいと考えるわけです。自分ができないということを認め、自分より絶対できるという人を見つけて採用してくること、これが実は権限移譲のコツだと思っています。自分が担っている役割を自分より上手にできる人を徹底的に探していく。それを、小嶋さん自身の仕事にするといいのではないでしょうか。