経営・戦略

2023.07.13 08:00

起業家・小嶋陽菜に南壮一郎、辻庸介が伝授した事業成長の「意外なコツ」

眞鍋 武
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「5000人の会社」のつくり方

谷本:お二人から見て、事業が好調な理由はどういったところに要因があると思いますか。
 
南:小嶋さんもお話しされていましたが、ブランドに理念がある、思いがこもっているというのが重要なのではないでしょうか。そして、思いに共感した人々が参画している。大切な成功の要因だと思います。
 
辻:企業経営においてはヒト・モノ・カネの3要素が重要だといわれます。モノ、つまりプロダクトに関しては、小嶋さんの場合はトップアイドルでありファッションモデルでもあるという点で、流行をつかむ感覚は研ぎ澄まされていると思いますし、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)もずれないのではないかと。大切なのはヒトだと思います。会社の規模に応じて課題も生まれます。そのような中で、評価制度をつくるか、目標設定をどうするか、ビジョンはどうするか、誰をマネジメント層にするか。大きく成長している会社は、中間のマネジメント層の方々がとても優秀なんです。ビズリーチでは、マネジメント層はどう採用したんですか?
 
南:年齢が若くて、ビジョンに共感してくれる人はたくさんいたのですが、そういった方々は採用しないと決めていました。ほかの会社でマネージャーやマネージャーの手前、もしくは部長などをやってきて、経験やキャリアを積んでいらっしゃる方だけを採用するというのを徹底していました。きっちりほかの会社で鍛えられた人を採用して、その人たちとともに事業をつくっていく。
 
私は元々、楽天イーグルスの球団設立時に働いていたのですが、ビズリーチを創業したときに三木谷さんから「どのくらいの規模の会社をつくりたいんだ?」と聞かれまして。その頃は楽天が5000人規模だったので、「5000人の会社です」とそこまで深く考えずに答えてしまったんですけども(笑)、ありがたいことに三木谷さんは5000人の会社のつくり方を教えてくれたんです。
 
将来、会社が5000人規模になると、最初に採用する50人、100人、150人がピラミッドの頂点に位置する組織体系になる。なので、その頂点になりえる人だけを採用する。その人たちが5人、10人、30人と雇ってくれば、組織になるんだと。

もちろんそういった方だけを採用するというのは、とても大変ですが、三木谷さんから頂いたその教えをふまえて、経営陣が採用に徹底的にコミットし、マネジメント層を採用していました。現在のCFOも、本日のようなパネルディスカッションで偶然出会い、パネルの最中に一緒に働きたいと強く思い、何度も話し合いをしながら入社してもらいました。仲間探しこそが経営者の最も重要な仕事です。
 
小嶋:本当に採用は大事だと思います。私の会社もまさに、マネジメント層を育てるというのが課題になっています。マネージャー会議にすごく時間を割いているので、それでよかったんだなと、話を聞いて思いました。

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文=加藤智朗 写真=小田駿一

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