サイエンス

2023.11.02 07:00

自己紹介は情報工学的設計で。初対面は「天童」エピソードが効果あり

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ジーニアスエピソードは幼少期に限らない


「少し落ち着いてきました。自分の中にもそういった条件をみたすエピソードはありそうです」と小池くんは言った。「しかし元も子もないことを言えば、エピソードがジーニアスエピソードになるかは、結果としての偉業次第ではないだろうか。そうでなければそのエピソードが示すのはその人がただの変態であることだけだ」と私が言ったところ、小池くんの顔がわかりやすく歪曲したため「大丈夫。エピソードは何も幼少期に限る必要はない。小池くん、君はすでに十分変態だよ。だからあとは他人のジーニアスエピソードに惑わされることなく偉業を成し遂げればいい」と慰めた。
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「劣等感、ねたみ、嫉妬はきりがないですよね。特に現代は身の回りの人だけでなく、SNSなどで自分が取り組んでいる分野の優れた人を容易に探すことができますし。冷静な気持ちでメタ的に他人のエピソードや人となりやスキル、やっていることを整理することで、他人ではなく自分にベクトルを向けることができるのかもしれませんね」と小池くんが斜め上を見て急に一般論のようなことを語り出したので、もう大丈夫そうだろうと思い、次のセミナーの会場に向かった。

後日。渡辺くんと会社の廊下ですれ違った際、「最近、小池が会議中に考えるときに頭のネジを回すような仕草をしたり、忍者のように印を組んだりしているんですけど、彼に何か言いましたか?」と聞いてきた。私の話の半分以上は小池くんに伝わっていない気がする。

アルゴリズム解説

隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model:HMM)

隠れマルコフモデルとは観測された状態の背後に隠されている別の要因を伴う状態遷移モデルとなる。

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マルコフモデルとは、ある状態となる確率が直前の状態のみによって決まるものとなる。

図1_4の例では「休日の各行動」という直接観測できる要因に対して「その日のテンション」という隠れた状態が存在する。隠れマルコフモデルは観測できる状態遷移から、その背後に隠された状態遷移を推測するために用いられることが多い。隠れマルコフモデルをもとに観測された状態の並びから隠れた状態がどのように遷移したかを推定するためには「ビタビアルゴリズム(Viterbi Algorithm)」と呼ばれる動的計画法が用いられる。



『となりのアルゴリズム』篠田裕之/著

となりのアルゴリズム』(篠田裕之著、光文社刊)

文=篠田裕之

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