キャリア

2023.06.23 15:00

徹底議論で実現させた「勝ち続ける営業プロセス」の全貌

ツールを活用しまず取り組んだのは「顧客別戦略の明確化」だ。顧客を属性ごとにセグメントし、リーチしたい顧客に対してアカウントプランを作成する。顧客概要や営業プラン、取引実績、キーパーソンカバレッジなどを入力し、情報を集約することで顧客への理解を全員が深めていく。アカウントプランの作成は「ラブレターを書くようなもの」と山中は表現する。顧客を思う気持ちがプランに表れ、本気で理解した結果が提案となるからだ。

プランをもとに経営幹部も交えセッションを行い、経営幹部・担当それぞれが対峙する顧客側キーパーソンを定め定期的な面会につなげた。「ソリューションベースの営業は顧客の経営課題を理解し解決のための仮説を立てて提案する。それには定期的なリズムでキーパーソンに会うことが大事。そこで蓄積されたナレッジからよい提案ができるようになる」と山中。関係づくりにより顧客側の意識も単なる発注先から「パートナー」に変わるという。

データ活用で、受注や販売計画に対する現状の立ち位置がわかり、着地予想から必要なアクションを先んじて取れるように。また会議でも数字等の確認は冒頭数分で済み、提案内容や次に取るべき行動の議論に集中できるようになった。「アカウントプランやナレッジを共有・活用できる環境は営業経験の浅い若手社員の育成にも活用しています」(清水)。

営業支援ツールの社内展開を担うCX推進部の左近次朗は「改革の『思想』を言葉で正しく伝えるため『管理』ではなく『支援』ツールと表現しています。」と語る。年1度の「活用自慢コンテスト」では月の新規提案数や現場訪問件数などのKPIをまとめたダッシュボードの活用事例が披露され、部員の意識や行動がどれだけ変化したかを「自慢」できる。ツール活用の好事例を社内に広め、営業を楽しむ意識を醸成することが狙いだ。

データを武器にした営業プロセス改革は22年度、現場ソリューションカンパニーの直販・法人営業部門で受注販売額2ケタ成長という結果をもたらした。今後は改革を全社にも広げていくのが目標だ。受賞について、「現場の営業社員がいま何をすべきかが見えて、自律した行動ができるようにすることを目指してきました。担当メンバーの地道な取り組みが評価されたと思います」(山中)


Masaki Shimizu/しみず・まさき◎現場ソリューションカンパニー ヴァイス・プレジデント現場サプライチェーン本部 マネージングダイレクター。

Masae Yamanaka/やまなか・まさえ◎執行役員 ヴァイス・プレジデント / Blue Yonder Japan協業推進担当 / 現場ソリューションカンパニー エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント 現場最適化ソリューション・CX戦略担当。

Jiro Sakon/さこん・じろう◎現場ソリューションカンパニー CX推進部シニアマネージャー。

文=斉藤泰生 写真=ヤン・ブース

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