次に、学習者に数問の問題を投げ、Brainbirdを用いた予見精度が十分であることを確認した後で、ABテストを行ったという。
このABテストは、Birdbrainによって最近接領域に近い問題で学習を進めた生徒と、そうでない出題方法で学習を進めた生徒のどちらが「より難易度の高い問題に解答できたか」を検証するものだ。
結果、Birdbrainを利用させた学習者の方が、3.5%「長い」コンテンツ*に解答でき、より高難易度のコンテンツを習得できていた。
※「コンテンツ難易度」のこの場合の評価指標には言葉自体や文章など、コンテンツの「長さ」を用いている。
また、実際に単にBirdbrainを活用した学習者の場合、活用していない学習者と比較して「6.3%長い時間」レッスンを受けていたことも明らかとなり、Birdbrainを活用した学習は、より難しい問題に取り組めるようにするだけでなく、生徒の「やる気維持」に役立つこともわかった。
高精度なアルゴリズムの秘訣
Duolingoのアルゴリズムの精度の高さの秘訣は、言うまでもなく、日々蓄積される膨大なデータにある。様々な学習者が毎日10億を超える演習問題を解き、その結果がフィードバックされる。また、単に解答データの結果が得られるだけでなく、各学習者がどういうコンテンツを学んでいるのか、また、同じようなレベルにいる学習者同士を比較できるデータも集めている。
Duolingoは、Birdbrainバージョン1の弱点を洗い出し、改善を重ねてBirdbrainバージョン2を開発したという。
バージョン1と比較した場合のバージョン2の違いは、生徒をより深く理解できるような学習モデル、ならびにニューラルネットワークを活用しているため、学習者をより詳細に把握できるようになったことだ。
また、学習状況に関する情報の収集頻度も、「1日1回」から、継続的に行える仕組みになったことで、バージョン2の学習モデルを活用して学習した生徒は、バージョン1と比較してより難しい問題を扱えるようになっただけでなく、学習時間も長くなったという。
Chat GPT4搭載、新サブスクリプションプラン「Duolingo MAX」
前述のように、日々10億以上のデータを集められるDuolingoは、Open AI社のChat GPT-4モデルの改良にも協力し、2023年3月15日に下記2つの新機能をもつ「Duolingo MAX」をローンチした。1つ目の機能、「Explain My Answer」は、学習者がどこを間違えたのか、文脈に応じた解説を提供してくれる機能だ。
2つ目の機能、「Roleplay」は、学習者が対話型AIチャットボット体験を通してDuolingoのキャラクターとともに、会話力を鍛えることができる。
これら2つの機能は、学習者に「正しい答え」を教えるばかりではなく、まるで人間の教師から教わっているかのような学び心地を提供するという。
AIのパワーを信じ、どういった経済状況にある人であっても世界最高の教育を受けられるような仕組みを構築するという大きなミッションを掲げるDuolingoの今後に期待したい。