経営・戦略

2023.06.26 08:30

農業スタートアップで初上場 「農業総合研究所」が挑む本気の改革とは

農業総合研究所の及川智正会長

ハウス食品グループとの協業もスタート

今年4月からは、ハウス食品グループと資本業務提携を締結し、協業も行っている。まずはスーパーの売り場での販促から。ハウス食品が持つ膨大な数のレシピと農作物をセットにして、より美味しい食べ方を提案している。

「例えばジャガイモ。『カレーに合うのはどのジャガイモか』など、レシピとセットでお伝えします。普段は見過ごしてしまっている農産物の価値を知っていただきたい」(堀内社長)

さらに、今後はハウス食品グループが10年を費やし開発したタマネギ「スマイルボール」を共同展開することも決まっている。生でそのまま丸かじりしても辛みがなく、おいしく食べることができるタマネギだ。農業総研の流通網に載せ、両者のノウハウを持ち寄って共同でブランド化することで、大規模に展開していく予定だという。

昨今は農産物の直販ECなども大いに注目を集めている。だが、同社が見据えるのは、農業流通を変革すること。あくまでメインストリーム(主流)の改革だ。

及川会長は次のように語る。

「日本で流通している国産の農産物の約70%がスーパーマーケットで購入されています。日本の農業を持続可能なものとするためには、自ずとスーパーマーケットとの取り組みが中心となってきます。私たちはこれからもこの“メインストリーム”を軸に、農業の価値を高めるための様々な挑戦に取り組んでいきます」

農産物は、肉や魚に比べて高付加価値化が困難とも言われてきた。そんな中、農業総研は“農業スタートアップ”の先駆者として、真正面から変革に挑む。

文=下矢一良

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