6月9日時点のテスラ株は、12日連続の値上がりを記録し、2021年1月以来の驚異的な好調ぶりを示している。
テキサス州オースティンに本社を置くテスラは先日、人気のモデル3が、EV購入者向けの税控除7500ドル(約106万円)の対象に指定されたことを発表し、これが強力な追い風となった格好だ。この決定により、州独自にEV購入者への7500ドルの税還付をおこなっているカリフォルニア州では、モデルSの新車をトヨタのカムリよりも安価に購入できることになる。
米国での税控除対象として指定を受けるため、テスラは、バッテリー原料の調達状況に関して、2022年8月に施行されたインフレ抑制法(IRA)に沿ったかたちでの変更を迫られた。IRAでは、EVバッテリーの原料と部品の少なくとも40%は、米国または米国と自由貿易協定を結ぶ国で採掘および加工されたものでなければならない。この最低割当量は毎年引き上げられ、2027年にはバッテリー生産の80%が米国またはパートナー国で行われていなければ、全額控除の対象指定を受けられない。
テスラ株価上昇の原因としてもう1つ、同社が6月8日、ライバルであるゼネラル・モーターズ(GM)のEV所有者にも、来年以降テスラの北米スーパーチャージャーネットワークの利用を開放すると発表したことがあげられる。この契約により、北米全体に1万2000カ所ある充電ステーションをGM顧客が新たに利用できるようになるだけでなく、EVになくてはならない充電インフラに関して、テスラは大幅に市場シェアを伸ばす結果となる。
銅の獲得に動くマスク
今後を見据え、マスクは5月にモンゴルのロヴサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相とオンライン会合をおこなったと報じられている。議題の詳細は明らかにされていないが、モンゴルは銅資源に恵まれた国であり、同国政府が、国内にある世界第4位規模の銅鉱山を、多国籍企業リオティントと共同で操業していることは注目に値する。リオティントは2023年5月、ゴビ砂漠の地下1.3kmに位置するこの鉱床からの銅生産をついに開始したと発表した。テスラは、この豊富な銅へのアクセスを握り、モンゴルに金属精製プラントを建てようとしているのだろうか? 同社のEV工場が中国・上海にあることを考えれば、この仮説は理に適っている。
(forbes.com 原文)