夜間作戦への移行は、同盟国から数百両の近代的な戦車や戦闘車両が届き始めた1月までは不可能だった。受け取った車両がロシア軍のものより最も優れている点は、完全な暗闇でも数キロ先の敵を見つけられる赤外線暗視装置などの光学機器だろう。
あるロシア人軍事ブロガーは「輸入された装備は優れた暗視装置を備えている」とSNSに書き込んだ。「ウクライナ軍はいつでも監視を行い、狙いを定めて砲撃の精度をコントロールすることができる。それゆえに、敵は夜を選ぶ」とも指摘した。
ウクライナ軍の反攻は6月4日夜に始まった。それから数日のうちに、戦況を注視するロシア人のブロガーらはあるパターンを指摘した。「ウクライナ軍は夜間に攻撃的な活動を行う」と別の軍事ブロガーは書いた。
このブロガーは、ウクライナ軍が夜間作戦に移行したのはロシア軍のヘリコプターや戦闘機、ドローンに見つからないようにするためだが、優れた光学機器を活用するためでもあると指摘した。
別のブロガーは6月10日にザポリージャ州で行われたウクライナ軍の夜間攻撃についてこう記述した。「大砲とグラート自走多連装ロケット砲による砲撃の準備を整えた後、(ウクライナ軍は)ロシア軍の位置を把握するために信号弾と強力な照明弾を打ち上げた」
そして「その後、敵は装甲部隊をいくつかの方向から投入して攻撃した」と指摘し、続いてロシア軍が埋めた地雷と大砲が攻撃を鈍らせたと主張した。
信じられない主張ではない。南部戦線からの写真や映像では、攻勢をかけるウクライナ軍が極めて危険な地雷や大砲に直面していることがわかる。ウクライナ軍の第33独立機械化旅団と第47独立機械化旅団が、ドネツク州ネスクチネの西約64キロに位置するマトクマチカの南側で地雷原を越えようとした試みは6月8日に大惨事に終わった。
だがマラトクマチカでの完敗はウクライナ軍の反攻を単に遅らせただけか、せいぜい方向転換させただけだった。ウクライナ軍はザポリージャ州とドネツク州でいくつかの軸に沿って攻撃しており、その多くで前進している。特にマラトクマチカの東約64キロのモクリ・ヤリー川沿いではそうだ。
ウクライナ軍の夜間の優位性は、同軍の前進を支えている。あるロシア人ブロガーは、夜間でも「昼間と同じようにはっきり見える」と書いている。
最高の光学機器は、第33独立機械化旅団と第4独立戦車旅団が運用する戦車レオパルト2に搭載されたものだろう。これらの旅団は、西側諸国が供与したドイツ製レオパルト約100両のうち、4、5両を失った。
だがそうした損失はレオパルトの有効性を否定するものではなく、特に長距離の砲撃合戦ではレオパルトは威力を発揮する。夜間となるとその有効性は一層際立つ。ブロガーの1人は「外国製の戦車がたくさん投入されている。それらは特に夜間に非常に正確に発射する。レオパルトに関して言えば、赤外線暗視装置はいまいましいほど価値がある」と指摘した。
(forbes.com 原文)