政治

2023.06.10

ウクライナ軍の独製レオパルト2戦車をロシア軍が初めて撃破

Getty Images

ロシア軍が初めてレオパルト戦車を撃破した

ウクライナ南部のザポリージャ市から南東に約56キロ離れたノボポクロフカの周辺で、ロシア軍が6月7日昼間に行ったウクライナ軍の車列への砲撃では少なくとも1両のレオパルト2戦車が破壊されたようだ。

砲弾が降り注ぐ中、ロシア軍のドローンが上空を旋回し、おそらくドローン操縦者は攻撃の指示と相手に与えた損害の評価を行った。ロシア軍はドローンがとらえた映像をソーシャルメディアに投稿。ロシアの宣伝担当者が以前から試みて失敗していたことをようやく実現した。それは、ウクライナ軍のレオパルト2が破壊される様子の公開だ。

砲撃があったとき、レオパルト2や他の装甲車はロシア軍が占領しているノボポクロフカや近くのマラ・トクマチカの郊外の舗装されていない道路をかなり窮屈な列で走行していた。

この部隊がどの旅団に所属していたかは不明だ。アナリストがノボポクロフカ方面に存在すると確認した前線にいる第65独立機械化旅団と第46独立空中強襲旅団ではドイツ製レオパルト2の運用は確認されていない。

ウクライナ軍でレオパルト2を保有していると断言できるのは、新設された第33独立機械化旅団と、ベテランの第1、第4戦車旅団の3つの旅団だけだ。

第4独立戦車旅団は最近、ザポリージャ戦線から160キロ近く離れたウクライナ東部ドンバス地方で目撃された。第33独立機械化旅団はウクライナ西部のリビウ周辺で訓練しているのが最後に確認されている。一方、第1独立戦車旅団はノボポクロフカの東に数キロ離れたところにいた。

第4独立戦車旅団は忙しい。つまり、ロシア軍が6月7日に砲撃した車列は第1独立戦車旅団か第33機械化旅団のものだったということになる。どちらか、または両方の旅団が最近、ウクライナの6月4日の反攻作戦に参加した可能性がある。

ノボポクロフカやマラ・トクマチカへのウクライナ軍の攻撃の結果はわからない。第1戦車旅団と第33独立機械化旅団は、数十両のレオパルト2とその他にも多くの装甲車を有している。1両のレオパルト2、あるいは数両のレオパルト2を撃破しても決定的とはならない。

ウクライナの最大規模の旅団の多くはまだ攻撃に加わっていない。米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車を擁する第47強襲旅団は南部戦線で戦っているとされる。しかし、英国が供与したチャレンジャー2戦車と米国からのストライカー装甲車を擁する第82独立空中強襲旅団はまだ現れていない。

仮に、ウクライナが同盟国から供与を約束された85両のレオパルト2をロシア軍がすべて破壊したとしても、米国の主力戦車M1エイブラムス31両、デンマーク・オランダ・ドイツのコンソーシアムが提供する130両以上のレオパルト1など、さらなる戦車がウクライナに向かっている。

反攻が展開されるにつれ、戦車や戦闘車両、大砲などウクライナ軍の装備の損失はさらに増えることが予想される。また、人的損失も拡大するだろう。ウクライナのゼレンスキー大統領は6月初め、何年にもわたるロシアの占領からウクライナを解放するためにウクライナ軍が戦う中で「多数の(ウクライナ軍)兵士が戦死するだろう」との見通しを示した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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