このタイミングは重要だ。重量37トン、乗員3人で、強力な40ミリ砲を搭載したスウェーデンのCV90は、米国のM2ブラッドレー歩兵戦闘車に相応する。ウクライナ軍は、南部ザポリージャ州で開始したロシア軍に対する攻勢で、すでに多数のM2を失っている。
スウェーデンは、ウクライナに50両のCV90の供与を約束した。ただ、どの旅団がこれを運用するのかは分かっていない。陸軍なのか、海軍歩兵なのか、あるいは独立空中強襲部隊なのかさえも不明だ。
だが、CV90が南部の反攻に加わるのはほぼ間違いない。CV90の訓練を受けたある兵士は「われわれは(反攻の)中心にいるだろう」と語った。CV90は6月14日までにウクライナに到着し始めた。
CV90は、1990年代初めにスウェーデン軍に導入され、今ではスイス、ノルウェー、オランダ、フィンランド、エストニア、デンマークの軍にも配備されている。スロバキアとチェコ共和国も発注した。
CV90はM2より12トン重いが、乗り込める歩兵はウクライナ軍が運用するA2ODS型のM2より1人少ない6人だ。M2より重量がある分、装甲の保護性能が優れている。
米陸軍の退役中将マーク・ハートリングはツイッターへの投稿で「スウェーデンを訪問した際、この戦闘車の火砲を撃つ機会があった。これは非常に優れた戦闘車だ」と述べている。
CV90は、M2より優れている可能性もある。米国がウクライナに供与した109両のM2は、その大半がウクライナ軍の第47強襲旅団に配備されたが、反攻開始から11~12日で少なくとも17両が失われた。
M2の損失のほとんどは、6月8日前後に発生した。第47旅団は第33機械化旅団と共に、ザポリージャ州マラトクマチカの南にロシア軍がつくった地雷原の突破を試みたが、失敗に終わったのだ。
だがM2の頑丈な設計のおかげで、乗員や歩兵のほとんどは命拾いした。損傷したM2から脱出したあるウクライナ兵はフェイスブックへの投稿で「この金属は命を救う」と書いている。米国は13日、損失分を補充するため、新たに15両のM2をウクライナに供与すると表明した。
CV90も、戦闘に投入されれば損失は避けられない。だがM2と同じく、ロシア軍の激しい砲撃から乗員や歩兵を守ってくれるはずだ。
重要なのはこの点だ。車両は交換が比較的容易だが、訓練を受けた経験豊富な乗員はそうではない。こうした経験ある兵士の方が、最終的にはより重要なのだ。
6月8日にマラトクマチカ近郊での攻勢で失われたM2の乗員たちは、戦場への復帰を切望している。先述の兵士は「けがから回復するのに数カ月必要だ」としつつも、「だが、復帰時に第47強襲旅団の一員であり続けられることを嬉しく思っている」とつづっている。
「これは戦争だ」と兵士は続ける。「大きな戦争であり、犠牲を伴う。実際、損失はある」。だがこうした損失にもかかわらず、「ウクライナ軍の兵士は弾薬を補充し続け、土地を占領者からメートル単位で奪い返している」という。
(forbes.com 原文)