一方、消費者インサイトの市場調査会社ヴァーヴ(Verve)で文化分析を行うキンバリー・ハワードは、ペットのラグジュアリー市場に参入する際には、徹底的な調査が必要になると指摘する。ハイエンドのペット用品業界を狙った企業が続々と生まれているからだ。
ペット用品ブランドは、ペットを飼うと生じるさまざまな問題や困難を把握し、そうしたニーズに応えるサービスを提供しなくてはならないとハワードは話す。
「ペットと暮らしていると、苦労することもあるけれど、喜びもある。そうした過程を探れば、イノベーションの機会が見えてくるかもしれない」とハワードは話す。「犬用散歩バッグなどの高級ブランド『CocoPup London』では、散歩中はさまざまなことに同時に対応しなくてはならず、おやつ用ポーチや水用ボトル、リードなどを持ち歩く必要もあるというニーズを把握。それを受けて、おしゃれで、簡単にモノを出し入れできるポケット付きの散歩用バッグをデザインした」
人間向け、さらにはベビー向け用品のトレンドも観察したほうがいい。「人間にとってのペットの存在は、パンデミック前よりも大きくなった。実際、ペットを子どもと同じようにみなしたり、子どもよりもペットを優先させたりする人が増えている」とハワードはいう。
「ペット用品の会社を立ち上げる場合は、ベビー向け用品の最新動向に注目すると、次なるペット用品の流行を予想できるかもしれない。トレンドというものは、先例に従う傾向がある。ベビー向け用品市場では、自然食品やオーガニック食品、知覚玩具、おしゃべりを促すゲームなどが流行しているので、そうした同種の分野に目を向けると、イノベーションのアイデアが湧きやすくなる」
ペット向けラグジュアリー市場が盛り上がっているのは、SNSで活動するインフルエンサーの影響もある。インフルエンサー向けマーケティング会社WeArisma(ウィーアリスマ)の創業者兼CEOのジェニー・ツァイはこう話す。「英国のペット市場は59億ポンド(約1兆340億円)規模とされており、英国で暮らす人の37%が、『TikTokやインスタグラムなどのお勧めを参考にして犬用グッズなどを購入する』と答えている。『ペットフルエンサー(ペットの飼い主を対象にしたインフルエンサー)』は増加している」
「ペットフルエンサーは今や、ペット用品を販売するグッチやセリーヌ、モンクレールなどの高級ブランドにとっても、重要なマーケティングチャネルだ」とツァイは語る。「当社が実施したインフルエンサー分析では、2022年に入って以降、それらの高級ブランドが高級ペット用品に関連して創出した媒体価値は480万ドル(約6億7000万円)に上り、主要SNSチャンネルでのエンゲージメントは310万を超えている」
(forbes.com 原文)