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2023.06.05 12:30

英国でサッカー観戦が贅沢品に 物価高騰でテレビ契約解除する層も

Getty Images

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サッカーは万人向けのスポーツであるはずだが、英国で観戦するとなると大金が必要だ。同国では食費や暖房費といった生活必需品の価格が高騰し、家計が圧迫される中、テレビでのスポーツやサッカー中継は、もはや多くの人々にとって贅沢なものとなりつつある。

投資プラットフォームのサクソが先月、スポーツ好きの英国の成人1000人以上を対象に行った調査によると、46%の回答者が生活費の高騰を理由に、スポーツ競技場での観戦回数を減らしていることがわかった。その半数に当たる23%は、競技場での観戦が「かなり減った」と回答。調査からは、回答者の41%が、少なくとも1つのテレビスポーツチャンネルの契約を解除していることも明らかになった。この傾向は特に若者の間で顕著にみられ、調査対象となった16~24歳の60%がスポーツチャンネルの契約を解除していた。55歳以上では14%にとどまった。

サクソのハリー・レイバーンは、スポーツの生中継は通常、不況の影響を受けにくく、競技場の観客数が減少すれば、テレビの視聴率が増加することが期待されるとし、現在の危機の深刻さを強調。その上で「英国を襲っている危機のせいで、ファンはテレビでスポーツ中継を観ることすら控えざるを得なくなっている」と指摘した。

スポーツチャンネルとの契約を止める人がいるのは驚くべきことではない。BT、スカイスポーツ、アマゾンといったすべてのサービスと契約すると、月に100ドル(約1万4000円)程度かかることもあるからだ。また、土曜午後3時のサッカーのキックオフは報道管制の対象で、英国のテレビでは通常放映できないため、すべての試合を網羅できるわけではない。こうした有料チャンネルの受信料や午後3時の報道管制のために、多くのファンが違法なストリーミングサイトを利用するようになっている。英BBCが引用した知的財産庁の推定では、同国では昨年、約400万人が違法にスポーツのライブストリーミングを行っていた。

将来的には、受信料を支払うことのできる視聴者が少なくなり、サッカープレミアリーグの放送契約が打撃を受ける可能性もある。しかし、一流チームの試合の観客動員数は依然として高く、プレミアリーグが海外からの放送契約で得る金額は国内での収入を上回っているため、現在の物価高騰の危機に対しては比較的無傷であると思われる。

他方で、イングランドのサッカーピラミッドの下層では、ファンの減少やテレビの受信契約離れによる収入減の影響がより大きくなるだろう。プレミアリーグとそれ以外の間の溝はすでに埋めがたいものがあるが、物価高騰の危機によってそれがさらに拡大する可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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