政治

2023.06.04 14:00

深刻化するドローン攻撃対策でロシア軍が手動式の防空兵器急造

Photo by Yan Dobronosov/Global Images Ukraine via Getty Images

ブリーチングを行うためのウクライナの綿密な準備をもってしても、非常に危険な作業であることに変わりはない。技術者は攻撃を受けながらすばやく作業しなければならない。ブリーチング作業が遅かったり失敗したりすると、防衛側の援軍が到着し、攻撃が失速する可能性がある。
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そこでウクライナは、反攻に先立ってロシアの要塞構築の動きを抑制することでリスクを軽減しようとしている。そのために、ウクライナ軍はロシアの掘削機を狙っている。

戦争中の兵器類の損失を集計する団体Oryxのアナリストは、ウクライナ軍が破壊したりダメージを加えたり、あるいは鹵獲(ろかく)したロシア軍の掘削機を16台特定している。Oryxは民間のものの損失は数えていないが、ソーシャルメディア上にはウクライナ軍がロシア軍のために働く民間の建設機械を攻撃して成功したことを示す動画写真あふれている

今春、ドローンの脅威が深刻化したようで、ロシアは掘削機を守るためのカバー範囲の狭い防空体制を慌てて準備し、配備することにした。3月にロシアのソーシャルメディアユーザーらは機関砲である2M-3と2M-7を備えた古いMT-LB装甲牽引車を発見した。
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2M-3と2M-7はそれぞれ25ミリ砲と14.5ミリ砲の上下二連装で、通常、海軍の小型戦闘艇などに搭載される。この機関砲はレーダー誘導を搭載していない。あくまで手動式の昼間に使用する兵器であり、機能するならの話だが、ごく近距離の砲撃に使える。

MT-LBを使った急造の武装車両は間に合わせの防空兵器だ。だが、ロシアが防衛の準備を重視していること、そうした準備をウクライナが妨害しようとしていること、ロシアが侵攻後の15カ月にわたる戦いで大きな損害を被り、最新の防空システムを欠きつつあることを考えると、必要なものであるように思える。

MT-LBに搭載した防空のための機関砲が実際にウクライナ軍のドローンを撃墜したかどうかは判断がつかない。今のところ、撃墜の証拠はない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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