岩本:お茶は海外などに市場を替えれば高い価格で買ってくださる方々がいらっしゃるのだということを、実績として示していきたいです。新たな市場、新たな世代への訴求を目標にしていて、パートナーと一緒にインドに新会社を設立し、新たな市場の開拓に取り組む予定です。
中川:僕らはこれまで国内での販路開拓に注力してきました。というのも、生活工芸はその国の文化と密接に関係しているため、生活スタイルの大きく異なる地域にはなかなか持っていきにくいからです。そして何より衰退している国内において、工芸の価値を届けることが最優先でした。でも僕らもそろそろ海外に出て行く時期が来つつあるのかなとは思っています。
ただ、まずは今増加中のインバウンド対策を充実させることが先ですね。店頭掲出物の英語化など、やることはたくさんあります。
岩本:日本の文化を英語で発信できるスキルは大事ですよね。例えば抹茶は、国によって少し言い方は違いますが、おおよそ「マッチャ」として日本語のまま海外で認識されています。ですので、日本由来の飲み物であることがすぐにわかります。
一方で、同じく日本の伝統技術である「発酵」は、英語の「fermentation」が浸透しています。2019年にコペンハーゲンの高級レストラン「ノーマ(noma)」のシェフが書いた「ノーマの発酵ガイド」が話題となり、世界的に知られるようになったからでしょう。これは残念な事例です。
このように、日本人が日本文化を発信せずにいると、それをもとに海外で新しい概念がつくられ、技術が統合されてしまうようなことが起こりえます。ですから、大切なものを英語で発信し、世界中で認知してもらうための努力は必要だと考えています。
その結果、世界中の方々が日本に観光に来てくれれば、さらに日本文化を世界に広げるきっかけになるので、自分たちも粛々と取り組んでいかなければと思っています。
中川:頼りにしています。