AI(人工知能)を活用したパーソナル・スタイリング機能を持つECサイトのスティッチ・フイックス(Stitch Fix)は昨年から、数千点におよぶオンラインカタログの商品説明文をAIで作成するようになった。同社の最高技術責任者(CTO)のSachin Dhawanは「AIは、30分で1万件の説明文を書くことが可能で、ミスも少ない」と述べている。
小売業者は、Eコマースの運営コストの削減方法として、このテクノロジーに注目している。人材プラットフォームのZipRecruiterによると、コピーライターの年収は約6万ドルだが、AIはわずかな時間で、より安価に仕事をこなすことができる。
ヴィクトリアズ・シークレットが買収した下着ブランド、アドア・ミー(Adore Me)でも、かつてはコピーライターが月に20〜30時間をかけて商品説明を書いていた。同社の戦略担当バイスプレジデントのランジャン・ロイは「この仕事は、あまり楽しいものではなかった」と述べている。
そして今、彼らはAIを使って、そのプロセスを改善している。ECサイトのコピー作成を支援するスタートアップ、TalkootのCEOのブライアン・ヘネシーは、アディダスのグローバルライティングディレクターを務めた後に同社を創業した。
彼は現在、アディダスやアンダーアーマー、リーボック、バートンなどのブランドにAIを活用したサービスを提供している。Talkootのツールは、コンテンツ制作のコストを40%節約し、サイトのコンバージョン率を10%以上向上させるという。
アマゾンと自社サイトで説明を変える
スノーボードメーカーのバートンは、AIの力で説明文を最適化している。同社の公式サイトにはハードコアなスノーボーダーが集まり、アマゾンのページには初心者が集まる傾向がある。そこで同社は、AIを使ってカスタマイズした商品説明文を用意し、自社サイトではよりマニアックな内容を、アマゾンではより説明的で一般向けの内容の説明文を掲載するようにしている。AIはまた、SEO(検索エンジンへの最適化)を意識した文章の作成を得意としている。つまり、顧客がグーグルで水着や下着、靴下などの一般的な文言を検索をしたときに、検索結果の上位にそのブランドのアイテムを表示させることが可能になる。