AI

2023.05.30

生成AIで「商品説明文」を自動化するECサイトの取り組み

Getty Images

ただし、アルゴリズムの調整には時間が必要だ。アドアミーがAIを使い始めた当初の説明文には、通常は目にしないような難解な単語が含まれていた。そこで、同社は10年前から書き溜めてきた2万3000件の説明文をAIに読み込ませ、アルゴリズムの訓練を行ったという。

そして最終的には、より一貫したブランドボイスを持つ過去2年間の説明文を送り込み、そこに微調整を加えたという。さらに、コンプライアンス的な問題で使用すべきでない文言を指定した。

AI時代に求められるスキル

アドアミーと共同で説明文を作成したAI企業Writerのメイ・ハビブCEOは「彼らは、文章の作成プロセスにおける人間の努力を完全に排除することがほぼ可能だ」と語る。アドアミーは、コピーライターを解雇していないが「より高度なマーケティング戦略やクリエイティブなキャンペーン業務」に重点を置くよう、仕事の内容を変化させたと述べている。

スティッチ・フイックスも、コピーライティングのチームはそのままだと述べている。同社は、AIが下した判断を、最終的には人間に確認させており、例えば、コンピュータがレコメンドした服は、顧客に発送する前にスタイリストが確認する。しかし、フリースタイルと呼ばれるメニューでは、ほぼリアルタイムでおすすめの商品リストを生成し、人間の仕事の負担を軽減している。

年次報告書によると、スティッチ・フイックスが雇用するスタイリストの数は2019年から約30%減少した。その一方、データサイエンティストとエンジニアの数は約30%増加した。

AIを商品説明に活用する企業は、アパレル以外の分野にも広がっている。Talkoot のヘネシーCEOによると、食品や飲料関係の企業もAIが生成するコピーに関心を示しているという。ChatGPTが話題になっていることもあり、このテクノロジーへの期待値は高く、すべての仕事をAIに任せようとする企業も現れている。

「これは、数十年もの間、人力で畑を耕してきた農夫の前に、トラクターが現れたようなものだ。トラクターがあれば、記録的な速さで畑を耕すことができる。でも、結局は誰かがそのトラクターを操縦しなければならない」とヘネシーは語った。「私たちは、AIが何でもできるようになるという考え方に立ち向かおうとしている」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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