米モンタナ州のグレッグ・ジアンフォルテ知事(共和党)は17日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」を禁止する法案に署名し、法律が成立した。TikTokを禁止する法律が成立するのは全米で初めて。ただ、訴訟に発展する可能性が高い。
2024年1月以降、Googleの「Google Play」やAppleの「App Store」といったアプリストアは、州内でTikTokをダウンロードできる状態にすると、1日あたり1万ドル(約138万円)の罰金を科される。
発効前にダウンロードした人の扱いを含め、法律がどのように運用されるかは不透明なところがある。TikTokのユーザー個人に対する罰則はない。
モンタナ州の法案は4月、共和党が多数派を占める議会でとくに大きな修正が加えられることもなく可決されていた。
ジアンフォルテは法案に署名後「中国共産党からモンタナの個人に関するプライベートなデータを守るため」TikTokを禁止したとツイッターに
投稿した。
モンタナ州は政府が所有する電子機器でのTikTokのダウンロードや使用については、すでに2022年12月に禁止している。ジアンフォルテは当時、TikTokは州のデータにとって「重大なリスク」だと懸念を示していた。
TikTokをめぐっては、ユーザーのキーストロークを追跡できることや親会社の中国企業ByteDance(バイトダンス)が米国民を
追跡していたことなどが報じられ、これまでに全米の半数以上の州と連邦議会が政府機器で禁止している。
モンタナ州のTikTok禁止法をめぐる最大の法的懸念は、表現の自由を保障した合衆国憲法修正第1条に違反するのではないかというものだ。米国内での禁止案が取り沙汰され始めて以降、訴訟になればTikTokに有利な判決が出る可能性が高いとの見方を専門家は示している。それでも、モンタナ州の法案の支持者は国家安全保障上の懸念が優先されると考えていたと報じられている。
TikTok側は訴訟を起こす公算が大きく、裁判所がすみやかに差し止め命令を出す可能性もある。
ウォールストリート・ジャーナルによると、ジアンフォルテはこの日の署名に際して、外国の敵対勢力とつながりのあるほかのすべてのソーシャルメディアアプリについても、職員に対して州政府の電子機器や事業での使用禁止を指示すると明らかにした。
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forbes.com 原文)