どの彗星が肉眼で見えるかを事前に知ることは非常に困難だが、それでも天文学者は予測を立てている。最近、天文学者たちの興味をそそっている彗星は「C/2023 A3(Tsuchinshan-ATLAS、紫金山-アトラス彗星)」で、現在火星と木星の間にある。
その彗星は金星ほどの明るさになり、肉眼で見える彗星としてはここ数年で最高のものになる可能性がある(ただ、到達前に輝きを失う可能性もある)。それより前に地球に接近する予定の12P/Pons-Brooks(ポンズ・ブルックス彗星)と呼ばれるハレー彗星に似た彗星も、肉眼で容易に見えるかもしれない。
以下に、2024年後半に地球に最接近する「大彗星」C/2023 A3について知っておくべきことを記す。
C/2023 A3彗星とは?
C/2023 A3は、軌道周期8万年強の長周期彗星だ。数百万個の彗星の故郷で、太陽系を球状に囲んでいる「オールトの雲」からやってくる。いつ発見されたのか?
2023年2月、南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システム (ATLAS)望遠鏡と、中国の紫金山天文台の両方によって発見された。いつ見えるのか?
2024年10月10日に太陽に最接近した後、北半球では最もよく見えるようになり、日没後の南西に現れる。その後、数週間かけて南の空を上昇する。どれほど明るくなるのか?
C/2023 A3は劇的な増光を経てマイナス5等級に達するとも予測されている。これは金星とほぼ同じ明るさだ。ちなみにNASAによると、満月の明るさはマイナス12.6等、太陽の明るさはマイナス26.7等だ。C/2023 A3がこれほど明るくなる理由は、地球との相対的配置にある。彗星のコマ(頭部)と尾の中のちりと氷結晶が、太陽光を地球方向に前方散乱させることで、明るく見えるのだ。
ただ、明るさはマイナス1等級ほどにとどまるという見方もある。いずれにせよ、最も明るくなるころには、北半球から観測しようとしても、地平線の霞の中に隠れて見えないだろう。Sky & Telescopeによると、肉眼で見えるようになるのは2024年10月中旬頃で、そのころには明るさはマイナス3等級まで落ちている。しかし、それでも彗星としては非常に明るい。
彗星観測計画を立てる
彗星の多くは、大型双眼鏡や望遠鏡などの本格的光学機器がないと観測できない。しかし、C/2023 A3彗星が本当に肉眼で見えるようになれば、必要なのは、日没後、彗星が一番明るくなった時に空を見上げることだけだ。ポンス・ブルックス彗星は?
太陽を71年かけて周回するポンス・ブルックス彗星は、1812年に発見された。来年、内太陽系に帰ってきて、2024年4月21日に太陽に最接近、2024年6月2日に地球に最接近する予定だ。(forbes.com 原文)