NASAがロケットを衝突させた小惑星の尾が2本に

ディモルフォス/ディモルフォス小惑星系から放たれた塵でできた2本の尾が、NASA/ESAハッブル宇宙望遠鏡の最新画像に写っている(NASA, ESA, JIAN-YANG LI, JOE DEPASQUALE)

これで私たちは、カリフォルニアから宇宙ロケットを投げつけて小惑星にぶつけると、何か予想外の結果が起きることがわかった。

米国時間9月27日、NASAの二重小惑星方向軌道変更テスト(DART)が衝突に成功して以来、あの小さな小惑星ディモルフォスで起きていることだ。ディモルフォスはそれより大きい小惑星ディディモスの周りを回る小衛星と考えるほうが適切かもしれない。

NASAのハッブル宇宙望遠鏡から送られてきた最新画像は、ディモルフォスが先月、少々無作法に宇宙の鼻水のようなものを放った後、2本の尻尾を引きずっているところを写している。

これは将来の星間侵入者に対する地球防衛の名を借りた、立派な宇宙マナー違反と考えるべきなのかもしれない。DARTの主要な目的は、隕石にロケットをぶつけることで軌道を変更させることができるかを調べるためだった。万が一、かつて恐竜を絶滅に追い込んだ破滅的衝突を避ける必要が生じた時のために。

そして、その技法は成功し、ディディモスを周回するディモルフォスの軌道を相当量変化させた。

NASAの科学ミッションを担当する科学者たちは、この変化の理由のある程度は噴出物の流れ、実際には鼻水ではなく、衝突によって作られた塵とがれきによるものだと考えている。衝突によって放たれたがれきの噴流が、ディモルフォスを新たな軌道経路へと押し出すのにひと役買ったということだ。

その過程で、噴流はディモルフォスに新装を凝らした。彗星のような尾だ。そして精密に調べた結果、ハッブル宇宙望遠鏡はそれが岩屑でできた2本の尾であることを明らかにした。

2本の尾は、上の画像ではやや不鮮明だが、たしかに存在している。NASAと欧州宇宙機関(ESA)は、上方の尾は、衝突直後に最初の尾が出現した後、新たに生じたものだと述べている。

2本目の尾がどのようにして生まれたのか現時点では正確にわかっておらず、今後複数の説明の可能性を探究していくと研究者らは語っている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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