世界一の大富豪、LVMHのCEO ベルナール・アルノーの帝王学

フランス人実業家ベルナール・アルノー

もちろん、失敗もある。高級アパレルとして立ち上げた「フェンティ」が鳴かず飛ばずだったため、21年2月には、リアーナとLVMHの連名で事業の休止が発表されている。

これまで以上に裕福になったアルノーは今、事業承継の計画を練っている。22年7月には持ち株会社で彼のLVMH持ち分を保有する「FinancièreAgache(フィナンシエール アガシュ)」の組織を再編し、同社の幹部に就いている5人の子供に同じ数の株式をもたせることを提案した。

テクノロジーと文化で進化するLVMH帝国

付けられた異名は「カシミアを着た狼」。祖父が創業した地元の建設会社を継いだベルナール・アルノーは、M&A(合併・買収)を繰り返し、今日のコングロマリット、LVMHを作り上げた。

アルノーには2度の結婚でもうけた5人の子供がおり、その全員がLVMHで働く。2023年1月には、長女のデルフィーヌが同社第2のブランドであるディオールの会長兼CEOに任命されている。アルノーが、後継者を自分の子供たちの中から選ぶ可能性は高い。その理由について19年、フォーブスとのインタビューでこう語っているからだ。

「このグループが長きにわたり、フランスの一族によって支配されることが重要だと我々は考えています」(アルノー)。
LVMHは起業家支援に積極的で、仏 パリにあるアクセラレータ「スタシオ ンF」とアクセラレータ・プログラム 「LVMHプログラム」を組んでおり、 年50社近くのスタートアップを迎え入 れている。

LVMHは起業家支援に積極的で、仏パリにあるアクセラレータ「スタシオンF」とアクセラレータ・プログラム「LVMHプログラム」を組んでおり、年50社近くのスタートアップを迎え入れている。

また、小売りや 文化保護にも注力。19世紀の百貨店 「サマリテーヌ・パリ・ポンヌフ」を完全子会社化して、16年の歳月をかけ て改修工事を施して21年に営業を再 開している。

小売りや文化保護にも注力。19世紀の百貨店「サマリテーヌ・パリ・ポンヌフ」を完全子会社化して、16年の歳月をかけて改修工事を施して21年に営業を再開している。

ベルナール・アルノーの子供たち


左から
デルフィーヌ(47)長女:
クリスチャン・ディオール会長兼CEO。ルイ・ヴィトンの製品担当執行副社長を経て現職。
アントワーヌ(45)長男:クリスチャン・ディオール副会長。同社コミュニケーション、イメージ、環境責任者を経て現職。
アレクサンドル(30)次男:宝飾品ブランド「ティファニー」の製品・コミュニケーション担当執行副社長。リモワのCEOを経て現職。
フレデリック(28)三男:高級時計メーカー「タグ・ホイヤー」のCEO。同ブランドの戦略・デジタル担当ディレクターを経て就任。
ジャン・アルノー(24)四男:ルイ・ヴィトンの腕時計部門のマーケティング開発担当ディレクター。マサチューセッツ工科大(MIT)卒。

文=ケリー・A・ドーラン 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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