これまで以上に裕福になったアルノーは今、事業承継の計画を練っている。22年7月には持ち株会社で彼のLVMH持ち分を保有する「FinancièreAgache(フィナンシエール アガシュ)」の組織を再編し、同社の幹部に就いている5人の子供に同じ数の株式をもたせることを提案した。
テクノロジーと文化で進化するLVMH帝国
付けられた異名は「カシミアを着た狼」。祖父が創業した地元の建設会社を継いだベルナール・アルノーは、M&A(合併・買収)を繰り返し、今日のコングロマリット、LVMHを作り上げた。アルノーには2度の結婚でもうけた5人の子供がおり、その全員がLVMHで働く。2023年1月には、長女のデルフィーヌが同社第2のブランドであるディオールの会長兼CEOに任命されている。アルノーが、後継者を自分の子供たちの中から選ぶ可能性は高い。その理由について19年、フォーブスとのインタビューでこう語っているからだ。
「このグループが長きにわたり、フランスの一族によって支配されることが重要だと我々は考えています」(アルノー)。
ベルナール・アルノーの子供たち
左から
デルフィーヌ(47)長女:クリスチャン・ディオール会長兼CEO。ルイ・ヴィトンの製品担当執行副社長を経て現職。