バートン、ドアダッシュ、Uber(ウーバー)傘下のポストメイツは、フォーブスの取材に応じなかった。しかし、ドアダッシュは2月に裁判所の召喚状への回答でバートンを「善意の独立請負業者」だとし、召喚状の内容すべてに大きく異議を唱え、バートンの労働時間と報酬の記録のみを提出している。
グラブハブの広報担当者は、フォーブスのメール取材に回答を拒否。リードの遺族に哀悼の意を表しつつ、バートンについて「もはや自社の業務委託ドライバーではない」とし「当社と契約するドライバーには徹底した身元調査を行っている」と付け加えた。
ドアダッシュは多くのギグエコノミー企業と同様、ドライバーの審査に身元調査サービス会社のCheckr(チェッカー)を利用している。フォーブスはチェッカーにもコメントを求めたが回答は得られなかった。
チェッカーは2018年からドライバーの採用時の審査に加えて「継続的な」調査も提供している。ただ、今回の件ではチェッカーがバートンに関してどんなサービスを企業に提供していたかは不明だ。
ギグエコノミーについて幅広く研究しているカリフォルニア大学ヘイスティングス校のヴィーナ・デュバル教授(労働法)は、ギグワーカーは稼ぎを増やすためにはより速く走らなければならないというプレッシャーにさらされており、このため業界では「事故が多発している」と指摘。「一方、フードデリバリー企業は、顧客の需要に迅速かつ容易に対応できるよう、できるだけ多くのギグワーカーを路上に留めておきたいと考えている」と説明する。
「これは、各ギグワーカーの報酬が非常に少なく、予測不可能なアルゴリズムに基づいた仕事の割り当てを通じて支払いを受けていることを意味する。出来高払いなので、理論上、より早く配達を済ませるほどより多くの収入を得られる。必然的に事故につながる」
イリノイ大学のマイケル・ルロイ教授(労働法)も同じ見解だ。「ギグワーカーの業績が配達速度などの定量的な指標で評価される点を考えると、ギグエコノミー企業はドライバーが引き起こすリスクについて十分認識していないと主張できる。ギグワークによってコストとリスクが移転し、ギグエコノミー企業が責任を免れるという悲しい事例の1つだ」と語った。
(forbes.com 原文)