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2023.06.04 09:30

カリフォルニアロールと寿司のギャップ その埋め方、活かし方

中道:ナイキの仕事をしている時に、ソフトバンクの城島健司選手がシアトル・マリナーズに移籍したんです。それでナイキがドキュメンタリーフィルムを作ったのですが、そのなかで彼は「英語がしゃべれなくて大丈夫? なんて聞くのは日本人だけですよ」と言っていました。

もちろん英語は話せた方がいいけれど、それは、舞台にあがらない理由にはならない。彼は野球選手ですから、伝えたい思いはプレイで伝えることが大事なんだと。でも、英語が話せないことを理由にする人が多いのは、今も変わっていないんですよね。

岡田:日本は平等で、教育水準も生活水準も世界の中でトップレベルですよね。一方でアメリカは、メキシカンも中国人も韓国人も生きるのに必死で、言葉がどうとか、文化が違うとか言っていられない。この国で生き残るんだというすごいエネルギーで未来を切り拓いています。そういう移民の姿から多くを学ばせてもらい、僕自身すごく変わることができました。

中道:そうですね。生き残れないなら、この国から出て行ってと言われるのがアメリカですからね。日本は自分の居場所を社会から認められやすい環境ですけど、アメリカでは「私はここにいるよ」と訴えなければ消えてしまうんですよね。


岡田:そういう意味で「人が生きる」本質にすごく気づかせてもらえるんです。いろいろな国や場所から新しいことをやりに来た人たちが集まってできている国だからこそ、新しいことがどんどん生まれています。

日本企業の人は「これはメイド・イン・ジャパンだから良い品ですよ」とアピールしたりしますが、アメリカ人が好きなのは「メイド・イン・アメリカ」です。それにアメリカと言ってもひとくくりではありません。人種もさまざまで、住んでいる場所によって気候も食文化も生活スタイルも違います。ですから、どこで何を売りたいのか、どこで何をしたいのか、自分の中で明確にしている必要がある。

中道:日本にいる人がそれを理解するのは難しいですよね。

岡田:そうですね。日本だけしか知らないと難しいでしょうね。逆にひとくくりでないから、LAで売れなくても、NYでは売れるというような良い面もあります。マーケットは1つだけではないというのがアメリカの面白さであり、アメリカでビジネスをやる醍醐味です。

文=久野照美 編集=鈴木奈央

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