先進国よりも新興国の方ではるかに一般的なもう一つの要素は、変動金利だ。預金者はここ数年、金利上昇に伴い相応の利回りを受け取り、借り手は変動金利で借りている。つまり、現在のように金利が上昇している環境で、銀行は金利上昇に応じて預金と融資で純利ざややスプレッドのバランスを取っている。
「中央銀行の立場から見ると、銀行システムの資本に注力できる」とルービンは話す。さらに「ほぼすべての新興国でインフレはピークに達したようだ。中央銀行が金利を引き下げる可能性は高く、これは経済の勢いに良い追い風となるはずだ。新興国はインフレと経済成長を両立させるという、欧米諸国にとってはかなり難しい綱渡りのようなことができる」とも指摘する。
新興国は今は良いように見えるかもしれないが、米国で銀行危機が悪化した場合、新興国も苦しむ可能性がある。
「マクロ的な観点からは、銀行危機が悪化し、米連邦準備制度理事会(FRB)が迅速に対応しない場合、流動性が急激に引き締まり、おそらくドルが急激に上昇するリスクがある。新興国の債券を保有するには良い時期ではないだろう」と米ファイナンシャルアドバイザリー会社Macrolens(マクロレンズ)のマネージングパートナー、ブライアン・マッカーシーは言う。
「米国の銀行が破綻し、FRBが何もしなければ、2008年ほど悪い事態にはならないかもしれないが、世界で似たような動きが展開されると見ている」
(forbes.com 原文)