22年11月、岸田文雄政権は「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、22年度の補正予算には1兆円規模の予算措置を盛り込むなど、国を挙げてスタートアップ育成の姿勢を掲げた。
政府は動き出した。では、日本企業はどうか。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーで今回のダボス会議にも参加した山田唯人は、経済性と社会性を併せ持つスタートアップや起業家育成のかぎは、大企業による「エコシステム内での支援」にあると指摘する。
「スタートアップや起業家には資本、素早く幅広いグローバル展開、R&D(研究開発)や技術が必要だ。大企業は、その資本や本社機能の一部を新規事業に能動的に提供し、活用してもらうことを通じてスケールアップを見越した育成に貢献できる」
どのような組織もリーダーも公的機関も、世界が直面している課題のすべてにひとりで立ち向かうことなどできない。しかし、世界には多くの声と多彩なアイデアがある。それらをシェアし、共に学び、協力しながら新たなシステムをつくり、共通の課題に立ち向かうことはできる。
最後に、若者のセッションでモデレーターのベイスが言った言葉を書き留めておきたい。
「確かなものがないとき、すべては可能である」